Reading Room - 2007

Reading Diary
2007年06月24日(Sun)▲ページの先頭へ
クラッシュ・ブレイズ(6)ソフィアの正餐会/茅田砂胡

『クラッシュ・ブレイズ(6)ソフィアの正餐会』/茅田 砂胡 (著)
単行本: 217ページ
出版社: 中央公論新社 (2006/11)
ISBN-10: 4125009627
ISBN-13: 978-4125009629
商品の寸法: 17 x 11 x 1.4 cm

出版社/著者からの内容紹介
上流階級のための全寮制学校に転入してきた金髪の美少年。そして銀髪の少女と黒髪の美少女。姿形は変わっても金銀黒の天使たちが集まれば……。平和な学園を舞台に密かに進行していた謎と陰謀とは?

2007年06月23日(Sat)▲ページの先頭へ
空中スキップ/ジュディ・バドニッツ

『空中スキップ』/ジュディ・バドニッツ (著), 岸本 佐知子 (翻訳)
単行本: 341ページ
出版社: マガジンハウス (2007/2/22)
ISBN-10: 4838715404
ISBN-13: 978-4838715404
商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.8 cm

出版社からのコメント
素っ頓狂ながら、ブラックに満ち、どこか現代のやるせない気持ちに通じる世界を描いたジュディ・バドニッツの23の短編。妄想爆発。シュールでブラック。救われない笑いの世界にようこそ。


これは割に評価が高く、結構話題になった短篇集で、図書館でもかなりの予約が入っていて、やっと借りられました。しかし、読んでみたら個人的には好きではありませんでした。

荒唐無稽で突拍子もない話が詰まっていますが、かなりブラック。でもブラック・ユーモアではなく、気持ち悪いブラック。一体どんなの?って感じですが、読んでいて不快な感じ(あくまで個人的好みです)がして、中には興味を引く話もあるけれど、全体として不快なイメージ。

例えば、ほとんどの話に匂いについての言及があります。良い香りではなく、むしろどれも悪臭。そうなると、本全体がそういう悪臭にまみれた感じになってしまっていけません。

確かに変わった作風の奇妙な本というのは認めますが、個人的にはほんとに好みに合いません。作家と作品は別と思いますが、どういう育ちをしたのだろうと思わずにいられませんでした。

ただし、作家にとってこういう感想を持たれるということは、むしろ良いことです。全然何も残らないより、気持ち悪いとか、不快だと思って記憶に残る方がはるかにましなのです。

2007年06月17日(Sun)▲ページの先頭へ
銀のアーチに祈りを/カレン・ロバーズ

『銀のアーチに祈りを』/カレン・ロバーズ (著), 高田 恵子 (著)
文庫: 565ページ
出版社: ヴィレッジブックス (2007/03)
ISBN-10: 4789730662
ISBN-13: 978-4789730662
商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2.6 cm

出版社/著者からの内容紹介
広告代理店の女性経営者、マデリンは、ニューオーリンズのホテルで何者かに襲われ、間一髪命拾いした。しかし、別の部屋から同姓同名の女性の他殺体が発見される。FBI捜査官のサム・マッケイブは、目下自分が追跡中の連続殺人犯による犯行だと判断し、マデリンに捜査の“おとり”になってもらうことにした。やがてじわじわと彼女に迫る魔の手。それはサムの予想どおりだった。予想できなかったのは、ふたりが互いに強く惹かれ合ってしまったことと、彼女が隠していた秘密・・・。


これはくだらなかったです。サスペンスなんだけど、無理矢理ロマンスにしているというか、あるいはその逆か…。だいたい、銃で命を狙われた直後に、助けに来たFBI捜査官に抱かれたいと思う女ってどうよ?という感じでした。

ニューオーリンズの話というので期待していましたが、ニューオーリンズらしい描写など何もなく、場所もどこでもいいんじゃないかと。つまらないとは言わないけど、都合の良すぎる話でした。

2007年06月14日(Thu)▲ページの先頭へ
クラッシュ・ブレイズ(5)オンタロスの剣/茅田砂胡

『クラッシュ・ブレイズ(5)オンタロスの剣』/茅田 砂胡 (著)
新書: 227ページ
出版社: 中央公論新社 (2006/07)
ISBN-10: 4125009503
ISBN-13: 978-4125009506
商品の寸法: 17.2 x 11 x 2.2 cm

出版社/著者からの内容紹介
中央銀河で絶大な人気を誇るトップモデルと舞台女優の卵。リィのまわりはなにやら華やかでにぎやかだった。一方、ルウは多数の大型肉食動物に囲まれレーザーで狙い撃ちされていた!


5巻目は、私の好きなリィが死ぬほど活躍するので、これまでの中で一番面白かったです。この巻だけデルフィニアの王女グリンダが戻って来たようで、嬉しかった。これらのシリーズは、やはりリィが主役なのだと感じました。

ちなみに、私が最初に読んだのは『王女グリンダ』で、それが面白かったので、18巻ある《デルフィニア戦記》を一気に読むこととなりました。

さて、このあと6、7巻も出ているのですが、現在図書館に予約中です。

2007年06月11日(Mon)▲ページの先頭へ
クラッシュ・ブレイズ(4)パンドラの檻/茅田砂胡

『クラッシュ・ブレイズ(4)パンドラの檻』/茅田 砂胡 (著)
新書: 221ページ
出版社: 中央公論新社 (2005/11/26)
ISBN-10: 4125009228
ISBN-13: 978-4125009223
商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.5 cm

出版社 / 著者からの内容紹介
標的は彼の"過去"??身に覚えのない罪で見ず知らずの女性からケリーが告発された。濡れ衣なのはわかっているが……。元巨大財閥総帥にして元賞金首に仕掛けられた罠。姿無き敵の狙いとは!?

2007年06月09日(Sat)▲ページの先頭へ
クラッシュ・ブレイズ(3)ヴェロニカの嵐/茅田砂胡

『クラッシュ・ブレイズ(3)ヴェロニカの嵐』/茅田 砂胡 (著)
新書: 224ページ
出版社: 中央公論新社 (2005/7/26)
ISBN-10: 4125009082
ISBN-13: 978-4125009087
商品の寸法: 17.2 x 11 x 2 cm

内容(「BOOK」データベースより)
体験学習でリィとシェラは仲間たちとともに、総勢12人で惑星ヴェロニカに降り立った。事件は、そこから始まった―。

2007年06月07日(Thu)▲ページの先頭へ
クラッシュ・ブレイズ(2)スペシャリストの誇り/茅田砂胡

『クラッシュ・ブレイズ(2)スペシャリストの誇り』/茅田 砂胡 (著)
新書: 213ページ
出版社: 中央公論新社 (2005/3/26)
ISBN-10: 4125008906
ISBN-13: 978-4125008905
商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.6 cm

内容(「BOOK」データベースより)
ヴァンツァーはレティシアに机の上の写真を見るよう、身振りで示した。大の男が眼を背けるほど凄惨な写真を前にしてもレティシアは顔色一つ変えなかった。「こりゃまた派手にやったもんだ」写真の内容に衝撃は受けないにせよ、それ以上の関心もないらしい。「おまえがやったと思っているらしい」「俺が!?」ヴァンツァーは無言で頷いた。こちらは何やら笑いを噛み殺しているような妙な顔つきだった。レティシアは逆に茫然と立ちつくしている。「…嘘だろう?」(ファロットの美意識)。連続惨殺事件が起きていた。犯人か?と疑われたレティシアは意外な行動に出て…。各界のプロフェッショナルの活躍を描く中・短篇3本を収録。

2007年06月06日(Wed)▲ページの先頭へ
クラッシュ・ブレイズ(1)嘆きのサイレン/茅田砂胡

『クラッシュ・ブレイズ(1)嘆きのサイレン』/茅田 砂胡 (著)
新書: 213ページ
出版社: 中央公論新社 (2004/11/25)
ISBN-10: 4125008779
ISBN-13: 978-4125008776
商品の寸法: 17.2 x 11 x 2 cm

出版社 / 著者からの内容紹介
感応頭脳のダイアナが変調をきたし、船の進路を恒星に向けて加速を始めた!辺境のクレアド星系に何が起きているのか?期待の新シリーズ、一巻読切連作!いよいよ開幕!

2007年06月05日(Tue)▲ページの先頭へ
コービィ・フラッドのおかしな船旅/ポール・スチュワート

『コービィ・フラッドのおかしな船旅―ファニー・アドベンチャー』/ポール・スチュワート (著), Paul Stewart (原著), Chris Riddell (原著), 唐沢 則幸 (翻訳), クリス・リデル (著)
単行本: 293ページ
出版社: ポプラ社 (2006/09)
ISBN-10: 4591094146
ISBN-13: 978-4591094143
商品の寸法: 18.6 x 13.6 x 2.4 cm

内容(「BOOK」データベースより)
コービィは、“おどけの兄弟”の陰謀から身を守れるのか?SSユーフォニア号の波乱にとんだ航海がはじまる。『ファーガス・クレインと空飛ぶ鉄の馬』のご好評におこたえしてファニー・アドベンチャー第2弾、堂々登場。


児童書ですが、ポール・スチュワート大好きなので、理屈抜きに楽しめました。仕掛けも面白い。

2007年06月04日(Mon)▲ページの先頭へ
俺と悪魔のブルーズ(1)(2)/平本アキラ

『俺と悪魔のブルーズ(1)』/平本 アキラ (著)
コミック
出版社: 講談社 (2005/01)
ISBN-10: 4063143651
ISBN-13: 978-4063143652
商品の寸法: 18 x 13 x 2.2 cm

出版社 / 著者からの内容紹介
十字路で悪魔と取り引きすれば、すべての願いは叶えられる「クロスロード伝説」であまりにも有名な“伝説的ブルーズマン”の生涯をモデルに、奇才が渾身で描いた本格ストーリー漫画作品、遂に刊行! 03年の暮れ、月刊アフタヌーン誌に登場するや、各方面で話題を呼び、ブルーズ・ミュージックに無関心の読者までも「あの時代」の空気に巻き込んだ、[ブルーズ生誕100年]目の注目作。1920年代末、アメリカ南部・ミシシッピ州デルタ地帯。黒人の大半は、白人所有の農園で、小作人となるしかなかった時代。ブルーズマンを夢見ながら、ろくにギターも弾けない平凡な農夫・RJを待ち受ける漆黒の運命とは!? 解説 永井“ホトケ”隆


『俺と悪魔のブルーズ(2)』/平本 アキラ (著)
コミック
出版社: 講談社 (2005/8/23)
ISBN-10: 4063143880
ISBN-13: 978-4063143881
商品の寸法: 18.2 x 13 x 2.4 cm

出版社 / 著者からの内容紹介
一夜にして得たギターの腕前と引き換えに、妻子の命を失った男・RJは“悪魔”と共に旅に出た! 十字路で悪魔に魂を売ったという「クロスロード伝説」で名高い“伝説のブルーズマン”、ロバート・ジョンソン。あらゆる現代のポップミュージックの祖とされる、この神話的人物の謎に覆われた生涯をモチーフに、奇才が描く本格的ストーリー漫画、待望の続刊!

物語は音楽モノの枠を超え、各誌書評にて好評を得た前巻を凌ぐ、異色のノワール的世界へと突入する。1930年代初頭・アメリカ中部。死して伝説となった黒人ブルーズマンと、死して伝説となった白人ギャング。未だ無名の若者に過ぎない2人の邂逅が招くのは災いか、弔いか!? 解説 鮎川 誠

2007年06月03日(Sun)▲ページの先頭へ
エレガントな象─続続葭の髄から/阿川弘之

『エレガントな象―続続葭の髄から』/阿川 弘之 (著)
単行本: 228ページ
出版社: 文藝春秋 (2007/04)
ISBN-10: 4163674608
ISBN-13: 978-4163674605

内容
美しい日本語がここにあります。ユーモアに富み、ウイットをきかせ、あるべきさまを語り、なすべきことを説いて、随筆の醍醐味ここに極まる。


美しい日本語、まともな文章が読みたくて読みましたが、まさか旧仮名づかいとは思いませんでした。とは言え、そういう仮名づかいは宮沢賢治などで慣れているので、読むのに支障はありませんでしたが。

著者のユーモアに何度か笑わせられるところもあり、この年代(80代〜90代)までなると、偏屈を通り越してなぜか可愛くなってくるのが不思議ですが、漢語を勉強している世代の文章は、テンポが良くて気持ちがいい。

ひとつ、著者は戦争体験者であり、兵隊仲間の話となると、海軍同窓会のようになってしまうのは致し方ないかもしれません。

こういう本は、本当に美しい日本語、まともな文章を勉強して欲しいと思う人達には、興味がない、退屈だと見向きもされないのでしょうね。これこそちゃんとした大人の文章だと思うのに、非常に残念です。

2007年06月02日(Sat)▲ページの先頭へ
メルカトル/長野まゆみ

『メルカトル』/長野 まゆみ (著)
単行本: 189ページ
出版社: 大和書房 (2007/04)
ISBN-10: 4479650091
ISBN-13: 978-4479650096
商品の寸法: 19 x 13.8 x 2.2 cm

内容
地図収集館で働く青年リュスの周囲で次々と起こる不可思議な出来事―。長野まゆみの新しい魅力が煌めく、極上のロマンティック・ストーリー。


今までとはちょっと違う長野まゆみという感じでした。なんとなく、いしいしんじに似て来たような…とはいえ、いしいしんじもまた違う方向に進んでいるので、ちょっと前のいしいしんじ(『麦ふみクーツェ』とか『プラネタリウムのふたご』とか…)と言うべきでしょうか。

しかし、やはり長野まゆみの独特の雰囲気は健在で、中でもこれは、そうした雰囲気を損なうことなく書き上げられた、一番物語らしい物語かもしれません。良かったです。

2007年05月31日(Thu)▲ページの先頭へ
インモラル/ブライアン・フリーマン

『インモラル』/ブライアン・フリーマン (著), 長野 きよみ (翻訳)
文庫: 635ページ
出版社: 早川書房 (2007/03)
ISBN-10: 4151768513
ISBN-13: 978-4151768514
商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 3 cm

内容
妖しい緑色の瞳、艶のある唇、豊かな胸。その少女の肢体は淫らすぎた―町じゅうの男を虜にしていた17歳の女子高校生レイチェルが忽然と姿を消した。失踪直前、同級生の男を誘惑し、嬉々としていた彼女がなぜそんな不可解な行動を?ダルース警察のストライドは、レイチェルの義父が娘に色目を使っていた事実を知り、義父を逮捕する。やがて法廷で審理が始まるが、そこには悪夢が…。


冒頭少しもたつきましたが、途中から一気に行きました。先が読めてしまう甘い部分もありましたが、エンターテインメントとしてはテンポも良く、面白かったです。

2007年05月29日(Tue)▲ページの先頭へ
不都合な真実/アル・ゴア

『不都合な真実』/アル・ゴア (著), 枝廣 淳子 (翻訳)
大型本: 325ページ
出版社: ランダムハウス講談社 (2007/1/6)
ISBN-13: 978-4270001813
ASIN: 427000181X

商品の説明
全米公開後、大ヒットしているドキュメンタリー映画『不都合な真実』の書籍版。米国の元副大統領が、瀕死の状態にある地球の現状を訴える。日本でも1月の映画公開に合わせて書籍が刊行された。

大統領選の落選後、著者は世界中を回って環境問題に関するスライド講演を行ってきた。書籍も映画も、そのスライドが基になっている。30年以上、研究してきた気候変動問題を中心に、地球環境にかかわる研究成果を収録する。

過去1000年間の北半球の温度推移、100年前と現在の氷河の様子、急増するハリケーンや台風災害、アマゾンの森林破壊の実態など、地球環境の深刻さを伝える図表や写真をふんだんに掲載する。360点あまりの図表や写真はすべてカラー。一目見て「危機的状況」とわかる資料があふれており、圧倒される。

一方で、本書は著者がなぜ地球環境問題に目覚めたのかを振り返る半生記にもなっている。きっかけは大学で、大気中のCO2量の測定を最初に提案した科学者、ロジャー・レヴェルに学んだこと。地球温暖化問題に大きく心を動かされた著者は、議員になってからも、議会が温暖化に関する初の公聴会を開催する手助けをしたり、公聴会や科学討論会議長を務めるなど積極的に活動を続けた。

最大の転機は1989年、6歳の息子が交通事故で瀕死の重体に陥ったことだという。この瞬間、「かつては緊急なことに思えていたものが、本当は取るに足らないものだと突然わかった」。「自分は本当はどのように自分の時間を使いたいのだろう?」と自問した結果、地球環境問題に活動と知恵、創意の大部分を向けるべきと自覚したという。

こうして形成された地球環境問題への関心と解決に向けての使命感は実に強固だ。環境問題は多くの政治家や企業経営者が耳を傾けようとしない「不都合な真実」だが、それに真っ向から立ち向かい、解決しようと努力する姿勢に心を打たれる。読者に対しても、日々の暮らしの中で小さな努力を重ねることで事態は変えられると主張。誰もが「不都合な真実」に真摯に向き合うことを促している。
(日経エコロジー 2007/03/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)


かなり前に図書館に予約して、やっと順番が回って来ました。興味を持っている人は多いでしょうが、地球に生きている者として、必読の本だと思います。世界中の人々が、けして他人事ではないのだと自覚するべき事実です。

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私たちが直面している気候の危機は、ときにはゆっくり起こっているように思えるかもしれない。しかし、実際にはものすごい速さで起こっている。これほど明らかな警告が私たちの指導者たちの耳に届いていないように見受けられるのは、なぜなのだろうか?それを認めた瞬間に、道義的に行動を起こさねばならなくなることを知っているがために、警告を無視するほうが都合がよいから、というだけなのだろうか?そうなのかもしれない。しかし、だからといって、不都合な真実が消え去るわけではない。放っておけば、ますます重大になるのである。

―アル・ゴア

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2007年05月27日(Sun)▲ページの先頭へ
サミング・アップ/サマセット・モーム

『サミング・アップ』/サマセット・モーム (著), 行方 昭夫 (翻訳)
文庫: 385ページ
出版社: 岩波書店 (2007/02)
ISBN-10: 4003725018
ISBN-13: 978-4003725016
商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 2 cm

訳者あとがきより
本書は20世紀前半を代表するイギリス作家の一人であるサマセット・モーム(1874-1965)の回想録である。モームは日本で紹介されてから既に70年近くになり、一般読者にもかなりよく知られている。作者自身は「本書は自伝ではないし、また回想録というのでもない」と述べているが、確かにいろいろな要素が混じっている。モームという人と文学について知るのに、これくらい適切な書物はない。本書はモームが64歳のときに発表されたが、少し以前からぜひこれだけは書き残したいと念願したことを、誰にも気兼ねせず、洗いざらい、死ぬ前に整理したいというので執筆したものである。


2007年05月26日(Sat)▲ページの先頭へ
みずうみ/いしいしんじ

『みずうみ』/いしい しんじ (著)
単行本: 288ページ
出版社: 河出書房新社 (2007/3/16)
ISBN-10: 4309018092
ISBN-13: 978-4309018096
商品の寸法: 19 x 13.4 x 3 cm

出版社 / 著者からの内容紹介
ひとつだけ、教えてくれ。今日は、何月、何日だ――伸び縮みする時間の中で、みずうみは渦巻き、そして落ちていく。『ポーの話』から2年、待望にして著者最高の最新長篇小説!


ある意味、ちょっと不気味。『プラネタリウムのふたご』とか、『麦ふみクーツェ』などを読んで、いしいしんじも宮沢賢治の流れを汲んでいるのかと思っていたが、『ポーの話』あたりからだいぶ方向が違ってきたようだ。それも、不気味路線へと。

かといって、ホラーという意味ではない。内的な不気味さ、と言ったらいいのか、うまく言葉がみつからないのだが、宮沢賢治とは明らかに違ってきたことだけは間違いないだろう。もうこのへんで、いしいしんじはお終いにしておいたほうが良さそうだ。この先、このままの路線で行くと、私の好みからは大きく外れる。


2007年05月24日(Thu)▲ページの先頭へ
崖の国物語(7)自由の森の戦い/ポール・スチュワート

『崖の国物語(7)自由の森の戦い』/ポール スチュワート (著), Paul Stewart (原著), Chris Riddell (イラスト), 唐沢 則幸 (翻訳), クリス リデル (イラスト)
単行本: 542ページ
出版社: ポプラ社 (2006/05)
ISBN-10: 459109216X
ISBN-13: 978-4591092163
商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 4.4 cm

内容(「BOOK」データベースより)
大いなる嵐の襲来で、旧地上町は崩壊した!逃れた人びとは、「自由の森」をめざして、危険な深森をこえる旅に出た。行く手に待ち受けるのは、人を惑わす「薄明の森」、恐ろしい泥地の怪物、血に飢えたオオモズ・シスターにゴブリン。さまよう人びとに安息はおとずれるのか?そして、飛翔機を失った司書勲士ルークの運命は? 英国異界ファンタジー第7部。


今回も楽しく読み終えました!毎回主人公は命がけの戦いをするのですが、今回は、登場人物皆が、手に汗にぎる命がけの戦いをします。悲しい出来事もあり、まさか!と思うようなことも起こります。そしてルークの出生の秘密も明らかに・・・。

大好きなシリーズなので、読み終えてしまうのがもったいなくて寂しい思いもしましたが、すでに続編の翻訳も予定されているので、次を楽しみに待つことにしましょう。

中身は冒険ファンタジーですが、そのオリジナリティは素晴らしいです。個人的には、1巻目が一番のお気に入り♪

2007年05月20日(Sun)▲ページの先頭へ
ファーガス・クレインと空飛ぶ鉄の馬/ポール・スチュワート

『ファーガス・クレインと空飛ぶ鉄の馬』/ポール・スチュワート (著), Paul Stewart (イラスト), Chris Riddell (原著), 唐沢 則幸 (翻訳), クリス・リデル (イラスト)
単行本: 254ページ
出版社: ポプラ社 (2005/11)
ISBN-10: 4591089517
ISBN-13: 978-4591089514
商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.4 cm

内容(「MARC」データベースより)
それは「空飛ぶ箱」からはじまった。ファーガスは、学校船ベティ・ジーン号のみんなを守れるのか? 空飛ぶ馬の背に乗って、きみょうな冒険に出発だ! 「崖の国物語」のスチュワート&リデルが贈る楽しい冒険物語。


『ファーガス・クレインと空飛ぶ鉄の馬』を読み終えましたが、あ、そうだったのか!という感じでした。

これは《ファニー・アドベンチャー》の第一作目。その前に三作目の『ヒューゴ・ペッパーとハートのコンパス』を読んでいたのですが、物語はすでにここから始まっていたのかと。シリーズものだから当然だけれど、なるほどね!と納得。

しかし、話としてはそれぞれ独立しているので、どれから読んでも大丈夫なんですが、あっ!と思う部分で繋がっているのです。やっぱりポール・スチュワートは面白い!

2007年05月19日(Sat)▲ページの先頭へ
ヒューゴ・ペッパーとハートのコンパス/ポール・スチュワート

『ヒューゴ・ペッパーとハートのコンパス』/ポール・スチュワート (著), クリス・リデル (イラスト), 唐沢 則幸 (翻訳)
単行本: 290ページ
出版社: ポプラ社 (2007/04)
ISBN-10: 4591097536
ISBN-13: 978-4591097533
商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.8 cm

内容
はるか遠い<凍てつく北の地>からふしぎな乗り物「飛行式雪上滑走機マークU」で飛んできた、風変わりな少年をめぐる謎解きのお話。<ファニー・アドベンチャー>シリーズ第三作目!


大好きなポール・スチュワートです。<崖の国物語>シリーズ以来はまってます。この本もそうした期待を裏切らないすごく面白い話でした。

とにかく想像力豊かな物語を書く作家で、オリジナリティがある。イラストレーターのクリス・リデルとのコンビも最高です!

児童書ではありますが、大人でも十分楽しめます。シリーズの三作目から読み始めてしまいましたが、もちろん一、二作目も借りました。

2007年05月16日(Wed)▲ページの先頭へ
夜の旅その他の旅/チャールズ・ボーモント

『夜の旅その他の旅』/チャールズ・ボーモント (著), Charles Beaumont (原著), 小笠原 豊樹 (翻訳)
単行本: 340ページ
出版社: 早川書房 (2006/07)
ISBN-10: 4152087420
ISBN-13: 978-4152087423
商品の寸法: 17.6 x 11.6 x 2.4 cm

内容(「MARC」データベースより)
平凡な何気ない日常から、小さな芽が出て、育ち、色鮮やかな花が咲く。悪夢という名の大輪が…。手品師のごとき手腕で紡ぎ出す、不思議な不思議な物語全15編を収録。


ブラックな話の短篇集で、どれも最後にどんでん返しがあります。途中うっかり見落としてしまいそうなことが、結末の大きな伏線となっていたりして、パズルのような感覚の小説でした。

表題作の『夜の旅』はニューオーリンズのジャズバンドの話で、たまたまタイミングも良く、個人的に非常に思い入れを感じた作品でした。このためだけにこの本を読んでもいいくらいです。

2007年05月10日(Thu)▲ページの先頭へ
星降る夜に、だれかが/ビヴァリー・バートン

『星降る夜に、だれかが』/ビヴァリー・バートン (著), 高里 ひろ (翻訳)
文庫: 484ページ
出版社: ヴィレッジブックス (2007/02)
ISBN-10: 4789730565
ISBN-13: 978-4789730563
商品の寸法: 14.8 x 10.8 x 2.2 cm

出版社/著者からの内容紹介
アラバマ州スプリング・クリークにひとりの精悍な男が帰ってきた。名前はリード・コンウェイ。18歳のときに義父殺害の濡れ衣を着せられて、15年間服役した男だった。その胸に秘めたのは、真犯人を突き止めて復讐を果たすという堅い決意。だが、彼は知らなかった・・・。その姿なき真犯人が彼の帰郷を聞きつけて早くも狡猾な罠を仕掛けようとしていること、そして自分と町の名家の娘とのあいだに激しい炎が燃え上がろうとしていることを。人気作家が贈る謎とロマンスに満ちたエンターテインメント巨編!


謎とロマンスに満ちたエンターテインメント巨編!なんてあったので、かなりサスペンス系かと思ったら、バリバリのロマンスでした。しかも、それは有り得ないだろう!という展開の強引なロマンス。ちょっと引きます。

最後のどんでん返しで殺人事件の犯人がわかるというので、かろうじてサスペンス風味もありますが、主人公はともかく、老いも若きも、あっちもこっちも恋愛話。それしか頭にないのか?という感じでした。しかし、はなからロマンスだと思って読めば、それもまた楽しいのかも。(^^;

2007年05月07日(Mon)▲ページの先頭へ
図書館警察/スティーヴン・キング

『図書館警察』/スティーヴン・キング (著), Stephen King (原著), 白石 朗 (翻訳)
単行本: 415ページ
出版社: 文藝春秋 (1996/09)
ISBN-10: 4163633405
ISBN-13: 978-4163633404

内容(「BOOK」データベースより)
図書館警察―あの懐かしい薄闇には怖ろしいものが…。サン・ドッグ―異世界を写し出すポラロイド・カメラの怪。


キングの作品は結局、ああ、またこんなもの読んでしまった!と思って終わるんですよね、私は。これも例にもれず。図書館で、もう一冊分厚いのを借りましたが、キングを続けて二冊はちょっとね・・・という感じなのでやめておきます。

2007年05月02日(Wed)▲ページの先頭へ
物しか書けなかった物書き/ロバート・トゥーイ

『物しか書けなかった物書き』/ロバート・トゥーイ (著), 法月 綸太郎 (編集), 小鷹 信光 (翻訳)
単行本: 352ページ
出版社: 河出書房新社 (2007/2/10)
ISBN-10: 430980103X
ISBN-13: 978-4309801032
商品の寸法: 19 x 13.4 x 3.2 cm

内容
タイプしたものが物質化する怪現象に遭遇したアル中気味のシナリオライター、自分をお払い箱にしようとする作者の企みに抵抗する小説中の私立探偵、帰宅途中、死体にヒッチハイクされた男のたどる奇妙な運命……不条理なまでのナンセンス・ユーモアと巧みなストーリーテリングで読者をキリキリ舞いさせるクセ球作家トゥーイの短篇傑作集。


面白かったです。ただし、現実的で想像力の乏しい人には無理かも?

例えば、お墓の中から死体が起き上がるなんて話に、そんなこと科学的に有り得ないじゃないか!バカバカしい!などと思う人はダメです。この本丸ごと不条理ですから。不条理やブラックユーモアが好きな人向き。

これを読みながら、なんとなく星新一のショート・ショートを思い出しました。

これは短篇集なんですが、たびたびモアマンさんという人の話が出て来ます。この人がおかしい!

暇だからというので、警察相手にわざと何か悪いことをしでかしたような態度を取って逮捕までさせるとか、半端じゃないイタズラを仕掛けます。読みながらニヤニヤしてしまって、ちょっと人前では読めない本かも…。

2007年04月29日(Sun)▲ページの先頭へ
天然理科少年/長野まゆみ

『天然理科少年』/長野 まゆみ (著)
単行本: 162ページ
出版社: 角川書店 (1996/12)
ISBN-10: 4048730193
ISBN-13: 978-4048730198
商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 2 cm

内容(「BOOK」データベースより)
放浪癖のある父に連れられ転居をくりかえす岬は、転校先の山間の中学校で不思議な少年・賢彦に出会った―。


これ、なんか不思議な世界だなあと思ってたら、幽霊の話だったんですね。長野まゆみ独特の鉱物的な世界(宮沢賢治的とも言える)も垣間見え、静かだけれど心に残る作品でした。

スタインベックの『チャーリーの旅』で、地元ニューヨークで迷子になった話を読んだ翌日、自分が迷子になった。そしてまた長野まゆみの『天然理科少年』で、少年が霧の中で迷子になる。

あら、また迷子の話かと思ったが、道がわかった途端に不思議な世界は消え失せる。スタインベックも警官に声をかけられて我に返った。それって私が迷った時と同じ状況。そういうトワイライトゾーンは、本当に存在するのかも…。

2007年04月28日(Sat)▲ページの先頭へ
図書館危機/有川浩

『図書館危機』/有川 浩 (著)
単行本: 343ページ
出版社: メディアワークス (2007/02)
ISBN-10: 4840237743
ISBN-13: 978-4840237741
商品の寸法: 18.6 x 12.6 x 3.2 cm


3巻目まで来ると文体その他にも慣れて、1日で読めました。ちょっとホロリとさせられるところもあって、エンタメとして単純に面白かったです。

しかし、今回も自衛隊っぽさ満開!それもそのはず、この作家は陸海空の自衛隊ものも書いてます。

どうやら、図書館シリーズはもう1作続くようですが。

2007年04月25日(Wed)▲ページの先頭へ
フールズ・オブ・フォーチュン/ウィリアム・トレヴァー

『フールズ・オブ・フォーチュン』/ウィリアム・トレヴァー (著), William Trevor (原著), 岩見 寿子 (翻訳)
単行本: 341ページ
出版社: 論創社 (1992/09)
ISBN-10: 4846001024
ISBN-13: 978-4846001025
商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 2.6 cm
内容(「MARC」データベースより)
1920年アイルランド、独立戦争への報復のテロリズムに引き裂かれた恋人達の長い彷徨の果てに訪れる愛の奇跡を描く。ウィットブレッド最優秀小説賞を受賞し、映画化された、愛の物語。


これは古典かと思っていたんですが、そうではなかったんですね。時代設定は第一次大戦の頃ですが、作者は現代の作家です。

アイルランドが舞台ですが、アイルランドの歴史に疎いので、物語の背景がよくわかりませんでした。しかし面白い本というのは、歴史を知らなくても物語として面白く読めるものだと思うのですが…。

この前にスタインベックを読んでいて、無意識に比較してしまっていたので、トレヴァーには気の毒だったかもしれません。

2007年04月24日(Tue)▲ページの先頭へ
チャーリーとの旅/ジョン・スタインベック

『チャーリーとの旅』/ジョン・スタインベック (著), 竹内 真 (翻訳)
単行本: 446ページ
出版社: ポプラ社 (2007/03)
ISBN-10: 4591097269
ISBN-13: 978-4591097267

内容
自分はどれだけ祖国の実情を知っているだろう――そんな疑問にとりつかれた作家スタインベックは、特注キャンピングカーに愛犬チャーリーを乗せ、アメリカ一周の旅に出た。人生の哀歓と自然の美しさに彩られた旅は、まるで人生そのもののように浮き沈みを繰り返しながら進んでいく。孤独とともに16000キロを走り抜けた4ヶ月。いまなお世界中の読者に愛される、旅文学の傑作!


今年3月に出版された新装版ですが、やはりスタインベックはすごい!さすがノーベル賞作家だけのことはありますね!久しぶりに、まともな文体、まともな構成、まともな日本語(これは翻訳によるところが大きいですが)、ちゃんとした大人の文章を読んだなという感じがして嬉しいです。


ジョン・スタインベックの『チャーリーとの旅』を読み終えてしまった。何事にも終わりはあり、スタインベックの旅も遂に終わりを迎えてしまったということだけど、スタインベックの文章は、いつまでも読み終えたくないと思わせる何かがある。読み終えてしまうのが残念でたまらない。スタインベックと共に、ずっとアメリカを旅していたかった。

読む前は、かなり昔の事であるかのような錯覚をしていたのだが、わずか50年ほど前の話である。50年と言えば長いような気もするけれど、現代社会はそう変わってはいない。スタインベックの見聞きしたことは、現在の話としても十分通用する。今でもどこかで戦争はあるし、人種差別もある。

ちょっと偏屈な面もあるスタインベックだが、自分の国であるアメリカへの愛情はかけがえのないものだ。アメリカの良いところも悪いところも受け入れた結果は、早く家に帰りたいということであったが、最後にホームタウンであるニューヨークで迷子になるなど、笑わせてもくれる。

スタインベックが意外にも愛妻家であったことや、犬の品格の高さなど、へえーと思うこともしばしば。旅は楽しいことばかりではないけれど、普段は気付かないような、いろいろなことを気付かせてくれる。旅はやはり長期間するものだなと。

2007年04月18日(Wed)▲ページの先頭へ
アナンシの血脈(上・下)/ニール・ゲイマン

『アナンシの血脈(上)』/ニール・ゲイマン (著), Neil Gaiman (原著), 金原 瑞人 (翻訳)
単行本: 287ページ
出版社: 角川書店 (2006/12)
ISBN-10: 4047915343
ISBN-13: 978-4047915343
商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.6 cm

内容(「BOOK」データベースより)
何をやっても冴えないチャーリーは、父親の葬儀の日に衝撃の事実を告げられる。「あんたの父さんは神だったからね―」そしてある日、神の血を色濃く受け継ぐ、スパイダーという名のきょうだいが現れて、平凡だったチャーリーの人生は音を立てて崩れはじめた。アフリカ神話の神の血脈に連なる二人の青年。その正反対の生き方がぶつかって巻き起こるとんでもない事件とは…?!ありえない現実と真に迫る幻想が交錯する、ジェットコースター・ストーリー。


『アナンシの血脈(下)』/ニール・ゲイマン (著), Neil Gaiman (原著), 金原 瑞人 (翻訳)
単行本: 317ページ
出版社: 角川書店 (2006/12)
ISBN-10: 4047915351
ISBN-13: 978-4047915350
商品の寸法: 19 x 13.2 x 2.8 cm

内容(「BOOK」データベースより)
何もかも正反対のきょうだいスパイダーに婚約者を寝取られ、仕事もめちゃくちゃにされ、しまいには横領の濡れ衣まで着せられたチャーリー。スパイダーを追い出すために「世界のはじまり」で、ある契約を交わしたが、そこには大きな罠が隠されていた。一方、殺人事件を追って南の島に飛んだ女刑事とチャーリーの元婚約者、そしてその母まで巻き込んで最悪の事態が発生。ダメ男チャーリーに残された唯一の手段は…「歌」?!世界19カ国で大ヒットを記録した、ゲイマンのベストセラーがついに上陸。


ジョン・スタインベックの『チャーリーとの旅』を読み始めて、すごくホッとしている。スタインベックは本当に文章の巧い作家だから、わざわざ笑わせようと意図しなくても、自然に面白いと思える。

ニール・ゲイマンの『アナンシの血脈』は、笑わせようと意図して書いているのがわかってしまって逆に笑えないし、そもそもイギリスのナンセンスは好きではないので、ちょっとうんざりした。

イギリスのナンセンス文学は『不思議の国のアリス』や『マザーグース』などが良く知られているが、ゲイマンの『アナンシの血脈』もその雰囲気がある。

スタインベックとゲイマンを比較するのは、ジャンルも違うので無理な話とは思うが、やはり落ち着いたちゃんとした文章は読んでいて気持ちがいい。

これは多分に翻訳の問題もあって、『アナンシの血脈』の翻訳が金原瑞人氏と知った時に感じた嫌な予感が、そのまま当たってしまった感じだ。もちろんヤングアダルト専門の金原氏の翻訳がいい時もあるのだが、近頃では合わない時のほうが多い。

『アナンシの血脈』はホラーっぽい部分を生かせば、イギリスのスティーヴン・キングにも成り得ただろうにと思ったりもしたが(キングは好きではないが偉大だと思う)、とにかく翻訳の文体が子供っぽくて、せっかくのそうした部分も台無しになってしまっている。私はニール・ゲイマンは好きなので、かなりがっかりだ。

金原氏自身も、これは大人向けのファンタジーだとあとがきに書いているのだから、ヤングアダルト向けっぽい翻訳には顔をしかめざるを得ない。何よりファンタジーの翻訳なら何でもかんでも金原氏という出版社の何も考えていない態度に腹が立つ。

「ハリー・ポッター」が売れるのは、子供が主人公のファンタジーではあるが、あえて子供向けに訳していないという理由もあると思う。ファンタジーを読むのは子供であり、ゆえにファンタジーの訳は子供っぽくていいのだというのは、全くの勘違いだ。子供だって、ちゃんとした文章なら読めるはずだ。

イギリスのナンセンスは、文学的センスのある訳なら引き立つが(無意味なナンセンスを日本語に訳すのは至難の技だが)、そうでないと筒井康隆のドタバタSF風になってしまう。私がイギリスのナンセンスを好きでないのも、あまりいい訳にお目にかかっていないせいかもしれない。

ニール・ゲイマンを読むなら、できれば是非原書で!と思う。

2007年04月14日(Sat)▲ページの先頭へ
図書館内乱/有川 浩

『図書館内乱』/有川 浩 (著)
単行本: 362ページ
出版社: メディアワークス (2006/9/11)
ISBN-10: 4840235627
ISBN-13: 978-4840235624
商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 3.6 cm

出版社 / 著者からの内容紹介
相も変わらず図書館は四方八方敵だらけ! 山猿ヒロインの両親襲来かと思いきや小さな恋のメロディを 叩き潰さんとする無粋な良化「査問」委員会。 迎え撃つ図書館側にも不穏な動きがありやなしや!? どう打って出る行政戦隊図書レンジャー! いろんな意味でやきもき度絶好調の『図書館戦争』シリーズ第2弾、ここに推参!――図書館の明日はどっちだ!?


一作目の『図書館戦争』よりも、さらに恋愛の要素が濃くなって、登場人物たちの恋愛模様が、あれやこれや描かれています。しかし熱血自衛隊の雰囲気は変わらず、やっぱりそこのギャップに苦笑いしつつ、軽く読める本として楽しんではいます。

最後、主人公笠原郁が高校生の時に憧れていた図書隊員の王子様の正体がついに分かります!って、読者はとっくにわかっているわけですが、郁自身もそれを知ることに。その後の二人の様子は次の作品で、というしかけ。

作者は、作中に出てくる『レインツリーの国』という本もついでに出したようで、そのあたりの商売のうまさが、あざといとも取れるし、上手いとも取れる。エンターテインメントだから、誰も後世に残る名作など期待してはおらず、売れてなんぼだとは思うけれど・・・。

2007年04月11日(Wed)▲ページの先頭へ
図書館戦争/有川 浩

『図書館戦争』/有川 浩 (著)
単行本: 345ページ
出版社: メディアワークス (2006/02)
ISBN-10: 4840233616
ISBN-13: 978-4840233613
商品の寸法: 19.5 x 14 x 3.5 cm

内容(「BOOK」データベースより)
正義の味方、図書館を駆ける!―公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ。


図書館の話なのに、激しく自衛隊っぽい。図書館も基地になっているし。外国の軍隊の話だとそれなりにかっこいいのに、日本のはどうしても自衛隊の域を出なくて、なんかクールじゃないなぁ・・・。(^^;

メディア良化委員会の、言論の自由を奪ったり、教育上よろしくない本を撤廃するというような悪法から本を守るために、武力を行使するという設定に非常に違和感を感じつつ、実は恋愛モノという変なギャップに苦笑しつつ、結構面白がってます。

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