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2005年04月03日(Sun)
ハードシェル/ディーン・R・クーンツ、エドワード・ブライアント、ロバート・R・マキャモン
『ハードシェル ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション』/ディーン・R・クーンツ、エドワード・ブライアント、ロバート・R・マキャモン (著), 大久保 寛 (翻訳)
文庫: 476 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4150405735 ; (1990/03)
目次
●ディーン・R・クーンツ集
「フン族のアッチラ女王」、「ハードシェル」、「黎明」
●エドワード・ブライアント集
「捕食者」、「バク」、「フラット・ラット・バッシュ」、「亡霊」、「荷物」、「コルファックス・アヴェニュー」
●ロバート・R・マキャモン集
「水の底」、「五番街の奇跡」、「ベスト・フレンズ」
※原書 『Hardshell (Originally Published As Night Visions 4)』/Dean R. Koontz, Edward Bryant, Robert R.McCammon
ホラー・アンソロジー『ハードシェル』を読み終える。正確に言えば、「ナイト・ヴィジョン」というシリーズの4巻目で、副題が「ハードシェル」といったところか。
このアンソロジーが他のアンソロジーと違うのは、各作家がそれぞれ1編ずつというものではなく、250枚という枠を設けて、その中でいくつ書いてもいい、あるいは250枚の作品1編でもいいという形式になっているところ。なので、当然収録されている作家の数も少ないし、お気に入りの作家がいれば、たとえ他の作家が好きでなくても、それほど物足りなさはないだろう。
実際に、以前ディーン・R・クーンツ(現在はミドルネームのRはつけない)には結構はまっており、長編をいくつか読んでいるし、マキャモンは言うまでもない。エドワード・ブライアントは知らない作家だが、万一クーンツとブライアントが面白くなくても、マキャモンさえ読めればいいといった感じ。
読んだ感想としては、クーンツの文章はやはり上手いと思うのだが、明らかな寓意を感じて、それにちょっと引いてしまった。トールキンが言うように、寓意を感じさせる小説は好きじゃない。今まで長編しか読んでいないので、クーンツの短編は初めてだったのだが、寓意さえなけば・・・と残念。
殺しても死なない殺人犯(実は宇宙人)を追う刑事が、絶体絶命の時に明かした真実は、実は自分はもっと強い宇宙人だったとかって、それあり?って感じで、驚きもしたけれど、あきれもした。でも、いくらなんでもそこまでは考えつかなかったなあと、やっぱり感心した。
ブライアントは、まったくダメ。作風が私の好みには全然合わない。ホラーの中に精神異常者の怖さというのも含まれるとは思うが、それって、正常者(何が正常かわからない場合もあるが)と異常者の対比があって、初めて怖いのであって、異常者ばかりの世界を書かれても、ヴァージニア・ウルフ状態だ。
もちろん、そんな話ばかりではないのだが、作品に必ず「作者付記」というのがついていて、そこで作者の意見を言ってしまっているので(それもフィクションなのだが)、読者が自由に解釈できないといううっとうしさがある。
マキャモンは、今さら「やっぱりマキャモンだよね」と言っても、またか!と思われるのがおち。でも、やっぱりマキャモンはいい。短編の場合、マキャモン特有の善のヒーローは出てこないのだが、独特の怖さ(怖さについては、むしろ短編のほうが秀逸)を醸し出している。
「水の底」という作品では、プールで溺死した少年の父親が、あのプールには何かがいる、息子は溺れたのではなく「それ」に殺されたのだと信じ、一人で誰も泳がなくなった汚れたプールに入っていくという話なのだが、誰もいない夜のプール、しかも手入れもされていないから、得体の知れないものがそこここに浮かんでいる。その中を泳ぐ恐怖は、読んでいるほうも一緒に水の底に潜っているみたいで、非常に怖い。常々水の中は怖いと感じているだけに、その恐怖はなおさらだ。
実際に、プールの中にはとんでもない怪物が潜んでいて、父親は「それ」と対決したわけなのだが、汚れた水の中の描写はものすごくリアルで、二度とプールでは泳げないかも・・・なんて。
マキャモンの3編は、ここから『スティンガー』や『狼の時』に繋がっていったのだろうと思わせる部分もあり、そういう意味でも興味深かった。他の二人はともかく、マキャモンの3編を読めたことがうれしい。
文庫: 476 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4150405735 ; (1990/03)
内容(「BOOK」データベースより)
英米ではホラー・アンソロジーがブームだが、中でも〈ナイトヴィジョン〉シリーズは独自の編纂で知られる。つまり、3人の作家がそれぞれ250枚の中短篇を各巻に書き下ろすことで、一作家一短篇に限られた従来のアンソロジーにつきまとう物たりなさを解消したのである。本巻には、ベストセラー作家ディーン・R・クーンツ、SF界の実力派エドワード・ブライアント、クーンツをしのぐ人気作家ロバート・R・マキャモンの3人を収録する。
英米ではホラー・アンソロジーがブームだが、中でも〈ナイトヴィジョン〉シリーズは独自の編纂で知られる。つまり、3人の作家がそれぞれ250枚の中短篇を各巻に書き下ろすことで、一作家一短篇に限られた従来のアンソロジーにつきまとう物たりなさを解消したのである。本巻には、ベストセラー作家ディーン・R・クーンツ、SF界の実力派エドワード・ブライアント、クーンツをしのぐ人気作家ロバート・R・マキャモンの3人を収録する。
目次
●ディーン・R・クーンツ集
「フン族のアッチラ女王」、「ハードシェル」、「黎明」
●エドワード・ブライアント集
「捕食者」、「バク」、「フラット・ラット・バッシュ」、「亡霊」、「荷物」、「コルファックス・アヴェニュー」
●ロバート・R・マキャモン集
「水の底」、「五番街の奇跡」、「ベスト・フレンズ」
※原書 『Hardshell (Originally Published As Night Visions 4)』/Dean R. Koontz, Edward Bryant, Robert R.McCammon
ホラー・アンソロジー『ハードシェル』を読み終える。正確に言えば、「ナイト・ヴィジョン」というシリーズの4巻目で、副題が「ハードシェル」といったところか。
このアンソロジーが他のアンソロジーと違うのは、各作家がそれぞれ1編ずつというものではなく、250枚という枠を設けて、その中でいくつ書いてもいい、あるいは250枚の作品1編でもいいという形式になっているところ。なので、当然収録されている作家の数も少ないし、お気に入りの作家がいれば、たとえ他の作家が好きでなくても、それほど物足りなさはないだろう。
実際に、以前ディーン・R・クーンツ(現在はミドルネームのRはつけない)には結構はまっており、長編をいくつか読んでいるし、マキャモンは言うまでもない。エドワード・ブライアントは知らない作家だが、万一クーンツとブライアントが面白くなくても、マキャモンさえ読めればいいといった感じ。
読んだ感想としては、クーンツの文章はやはり上手いと思うのだが、明らかな寓意を感じて、それにちょっと引いてしまった。トールキンが言うように、寓意を感じさせる小説は好きじゃない。今まで長編しか読んでいないので、クーンツの短編は初めてだったのだが、寓意さえなけば・・・と残念。
殺しても死なない殺人犯(実は宇宙人)を追う刑事が、絶体絶命の時に明かした真実は、実は自分はもっと強い宇宙人だったとかって、それあり?って感じで、驚きもしたけれど、あきれもした。でも、いくらなんでもそこまでは考えつかなかったなあと、やっぱり感心した。
ブライアントは、まったくダメ。作風が私の好みには全然合わない。ホラーの中に精神異常者の怖さというのも含まれるとは思うが、それって、正常者(何が正常かわからない場合もあるが)と異常者の対比があって、初めて怖いのであって、異常者ばかりの世界を書かれても、ヴァージニア・ウルフ状態だ。
もちろん、そんな話ばかりではないのだが、作品に必ず「作者付記」というのがついていて、そこで作者の意見を言ってしまっているので(それもフィクションなのだが)、読者が自由に解釈できないといううっとうしさがある。
マキャモンは、今さら「やっぱりマキャモンだよね」と言っても、またか!と思われるのがおち。でも、やっぱりマキャモンはいい。短編の場合、マキャモン特有の善のヒーローは出てこないのだが、独特の怖さ(怖さについては、むしろ短編のほうが秀逸)を醸し出している。
「水の底」という作品では、プールで溺死した少年の父親が、あのプールには何かがいる、息子は溺れたのではなく「それ」に殺されたのだと信じ、一人で誰も泳がなくなった汚れたプールに入っていくという話なのだが、誰もいない夜のプール、しかも手入れもされていないから、得体の知れないものがそこここに浮かんでいる。その中を泳ぐ恐怖は、読んでいるほうも一緒に水の底に潜っているみたいで、非常に怖い。常々水の中は怖いと感じているだけに、その恐怖はなおさらだ。
実際に、プールの中にはとんでもない怪物が潜んでいて、父親は「それ」と対決したわけなのだが、汚れた水の中の描写はものすごくリアルで、二度とプールでは泳げないかも・・・なんて。
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