Horror

Reading Diary
2007年05月07日(Mon)▲ページの先頭へ
図書館警察/スティーヴン・キング

『図書館警察』/スティーヴン・キング (著), Stephen King (原著), 白石 朗 (翻訳)
単行本: 415ページ
出版社: 文藝春秋 (1996/09)
ISBN-10: 4163633405
ISBN-13: 978-4163633404

内容(「BOOK」データベースより)
図書館警察―あの懐かしい薄闇には怖ろしいものが…。サン・ドッグ―異世界を写し出すポラロイド・カメラの怪。


キングの作品は結局、ああ、またこんなもの読んでしまった!と思って終わるんですよね、私は。これも例にもれず。図書館で、もう一冊分厚いのを借りましたが、キングを続けて二冊はちょっとね・・・という感じなのでやめておきます。

2006年10月01日(Sun)▲ページの先頭へ
絢爛たる屍/ポピー・Z・ブライト

『絢爛たる屍』/ポピー・Z・ブライト (著), Poppy Z. Brite (原著), 柿沼 瑛子 (翻訳)
文庫: 392ページ
出版社: 文藝春秋 (2003/06)
ASIN: 416766125X サイズ (cm): 15 x 11

内容(「BOOK」データベースより)
脱獄した連続殺人鬼。ひそかに凄惨な殺人を繰り返す富豪の青年。生きた者を愛せぬ二人の男が傷心の美青年と出会ったとき、爛れた地獄が口を開けた…。倒錯性愛と頽廃の美を描く異能の女流作家ブライトの耽美的にして残虐な傑作。エキゾティックな妖都ニューオーリンズの闇の底、狂気と背徳の愛が甘い腐臭を発して蠕動する。


ニューオーリンズを舞台にしたホラー小説『絢爛たる屍』を読み終えたが、内容うんぬんというより、これは気持ち悪いなあ。登場人物がゲイで死体愛好者で、なおかつカニバリズムまで・・・という異常な倒錯の世界なのだが、殺して内臓を切り開くとかいうのは、やっぱり気持ち悪い。ちなみに、作者は女性。

ニューオーリンズの描写はそれなりに良かったのだが、そういうことには全く関係なく、とにかく気持ちが悪い。エイリアンとか幽霊とか吸血鬼とかならまだしも、普通の(?)人間がこういうことをする話は、有り得ない話ではないから、余計に気持ちが悪い。異界の魔物の仕業だとかいうならまだ受け入れられるかもしれないが。同じ人間のこういう嗜好は、やっぱり受け入れられないなあ。

とはいえ一般的と思われている多くの人たちだって、例えば事故現場などの被害者を見たくて集まって来たりするわけで、人間は皆どこかで死体を見たがっているのかもしれない。それが証拠に「人体の不思議展」などにもたくさんの人が集まって来る。

しかし、とある週刊誌で読んだのだが、この「人体の不思議展」の標本は、出所がわからないそうな。標本になっているのは中国人のものだが、それを提供したと言われている中国のナントカ大学(いい加減ですみません!)では、そんなことは知らないと言っているらしいし、日本医師会なども後援とか監修となっているが、いっさい関係ないとのこと。一体誰がやってるんだ?

でも、『絢爛たる屍』を読む前に「人体の不思議展」を観てなくて、本当に良かった。観ていたら、あまりにもリアルに想像できてしまって、眠れなくなっていたに違いない。

2006年09月24日(Sun)▲ページの先頭へ
デスペレーション(上・下)/スティーヴン・キング

『デスペレーション(上)』/スティーヴン・キング
文庫: 584ページ
出版社: 新潮社 (2000/11)
ASIN: 4102193235

内容(「BOOK」データベースより)
ネヴァダ州の砂漠を突っきるハイウェイ50。一人の警官が、通りがかる人々を次々と拉致していた。彼らが幽閉されたのは、デスペレーションという名の寂れた鉱山町。しかも、町の住民はこの警官の手で皆殺しにされていた。妹を目前で殺された少年デヴィッドは、神への祈りを武器に、囚われの人々を救おうとするが…善と悪、生命と愛という荘厳なテーマに挑む、キング畢生の大作。


『デスペレーション(下)』/スティーヴン・キング
文庫: 535ページ
出版社: 新潮社 (2000/11)
ASIN: 4102193243

内容(「BOOK」データベースより)
警官の魔手を逃れた生存者たちは、荒れ果てた映画館で息をひそめていた。作家マリンヴィルは、一行を導く少年の持つ神がかりの能力に気づき、この一件に人知を超えた力が及んでいることを知る。さらに、多くの鉱夫を生き埋めにした落盤事故が過去に起きたことが判明。警官を狂気に追い込んだのは、犠牲者の怨念なのか?かくして、殺戮を繰り返す悪の正体が、ついに明かされる。

2006年09月17日(Sun)▲ページの先頭へ
マイン(下)/ロバート・R・マキャモン

『マイン(下)』/ロバート・R・マキャモン
単行本: 325ページ
出版社: 文藝春秋 (1992/03)
ASIN: 416313140X

※画像は文庫のもの

出版社より
1990年度ブラム・ストーカー賞受賞作。第十長篇にして、マキャモンがホラー小説に「決別」したとされる区切りの一作。スーパーナチュラルな恐怖は排除され、サスペンス/犯罪小説の範疇に収まる作品となっている。

60年代の過激派活動の記憶をいまも抱えるメアリー。当時の妄執が臨界点を超え、狂気の域に達したとき、彼女はかつての恋人への「供物」として捧げるべく、幼い赤ん坊を誘拐、逃亡した。その子の母ローラは、幸福な生活をなげうって息子のために立ち上がり、かくてふたりの女の壮絶な戦いが開始される。

超自然的要素は皆無だが、物語自体は「恐怖」に照準が合わされている。動乱の60年代への郷愁をいくらか匂わせはするが、これまでにないほど叙情味や物語の「遊び」も排されており、徹底的な逃亡と追跡の物語、ひとりの子どもをめぐる激情の物語となっている。猛然と疾駆するヘヴィな力感は圧倒的で、ほかのマキャモン作品とは印象を異にする。マキャモン最大の異色作であるかもしれない。



マキャモンの『マイン』を読み終えたが、これこそまさに「死にものぐるい」という言葉がふさわしい話だろう。昨日も書いたけれど、ヴァンパイアとか異星人とか幽霊とかのホラーではなく、人間の女の怖さを描いた作品。

あえて言えば、スプラッターもの。これでもかとばかりに血が吹き出てくる。読みながら、痛たたっ!と顔をしかめながら読んでいた。それでもマキャモンの作品は、最後には読者を感動させてしまうのだからすごい。

私には子どもがいないから本気でわからないかもしれないが、子どものいる母親なら、主人公の一人ローラの気持ちは、痛いほどわかるだろう。銃で撃たれようが、犬に噛み付かれようが、骨折しようが、指をなくそうが、何としてでも子どもを守る母親のものすごさ!

子どもをさらったメアリーのほうもすごいが、こちらは気が狂っていると思えば、なるほどと納得できるけれど、正気でそれに立ち向かうローラはものすごい!女はマジで強い!そんな女を書いてしまうマキャモンは、一体どんな経験をしてきたのだろう?

マキャモンは脱ホラー宣言をして、その後断筆宣言をしたのだが、彼ならホラーでなくても十分にいい作品が書けるだろうと思う。また絶対に書いてほしい。すごく、いや、ものすごく心待ちにしているのだから。

ホラーは全くダメだった私が、ここまでホラー小説にのめりこむようになったのは、ひとえにマキャモンのせいだ。なぜなら、良くも悪くも、ホラーは人間の真の感情を描いていると気づかせてくれたからだ。そうした真の感情が、純文学のようにまどろっこしくなく、ストレートに描かれているのが気に入ったのだ。

白か黒か、○か×かという性格の私は、マキャモンの作品のように、悪はあくまでも悪であり、善はあくまでも善であるという描き方は大好きなのだ。そして必ず善が勝つのも、この世の中にあって、救われる思いがするのだ。実際の世の中では、善は必ずしも勝たないし、ホラー小説よりも恐ろしいことは多々ある。個人的には、必ず善が勝つマキャモンの小説は、むしろファンタジーであると言ってもいいかもしれないと思っている。



2006年09月15日(Fri)▲ページの先頭へ
マイン(上)/ロバート・R・マキャモン

『マイン(上)』/ロバート・R・マキャモン
単行本: 371ページ
出版社: 文藝春秋 (1992/03)
ASIN: 4163131302
※画像は文庫のもの

出版社より
1990年度ブラム・ストーカー賞受賞作。第十長篇にして、マキャモンがホラー小説に「決別」したとされる区切りの一作。スーパーナチュラルな恐怖は排除され、サスペンス/犯罪小説の範疇に収まる作品となっている。

60年代の過激派活動の記憶をいまも抱えるメアリー。当時の妄執が臨界点を超え、狂気の域に達したとき、彼女はかつての恋人への「供物」として捧げるべく、幼い赤ん坊を誘拐、逃亡した。その子の母ローラは、幸福な生活をなげうって息子のために立ち上がり、かくてふたりの女の壮絶な戦いが開始される。

超自然的要素は皆無だが、物語自体は「恐怖」に照準が合わされている。動乱の60年代への郷愁をいくらか匂わせはするが、これまでにないほど叙情味や物語の「遊び」も排されており、徹底的な逃亡と追跡の物語、ひとりの子どもをめぐる激情の物語となっている。猛然と疾駆するヘヴィな力感は圧倒的で、ほかのマキャモン作品とは印象を異にする。マキャモン最大の異色作であるかもしれない。


吸血鬼より怖い・・・それは女。しかも狂った女って、それを聞いただけでも怖い。今回の作品は、幽霊とか吸血鬼とか、いわゆるそういう類のものは一切関係なく、ただ人間の、それも女性の狂気を描いたものだが、世の中で一番怖いのは人間かもしれないなあ、それも女だろうと。。。

女は本当に怖いけど、逆に強くもある。肉体的には男のほうが強いかもしれないが、精神的には、やはり子どもを産める女のほうが強いに違いない。「命をかけて守る」などという言葉は、むしろ女のほうがふさわしいし、実行できる可能性も高いだろうなと思う。

だから、男に守って欲しいなんていうのは幻想だ。いざとなれば、女のほうが絶対に強いに違いない。神戸の震災のときには、全然守ってくれもせず、ひとりで逃げ出した夫に愛想をつかして、離婚する人が大勢いたというのも頷ける。

でも、幻想だからこそ、強い男に憧れるというのもありだろう。本当に強い男がこの世にいるかどうか疑わしいが、「自分の命を捨ててでも守る」という言葉がもたらす夢にひたるだけでも良しとしよう。

ただし、それは幻想であって、現実に期待してはいけないことだ。現実には、自分が守る立場になるかもしれないと心しているべきだ。期待しなければ、失望もない。何事も。



2006年09月10日(Sun)▲ページの先頭へ
始末屋ジャック 深淵からの脅威(下)/F・ポール・ウィルスン

『始末屋ジャック 深淵からの脅威(下)』/F・ポール・ウィルスン
文庫: 331ページ
出版社: 扶桑社 (2006/07)
ASIN: 4594051952

内容(「BOOK」データベースより)
容赦なく照りつける熱帯の太陽の下、邪悪な一団がうごめいている。ジャックの父トムは、奇跡的に意識を回復したが、ジャック父子に正体不明の何者かに幾度となく襲われる。それは。病室に現れた異形の女と関連しているのか?どうやら、敵はこれまでジャックが戦ってきた、異界の勢力と通じているようだ…。ジャックは、朝鮮戦争で名狙撃手だった父とともに、かつてない戦いを挑む!モダンホラー界最強、われらがヒーロー“始末屋ジャック”の智謀の冴えをとくと見よ。

2006年09月08日(Fri)▲ページの先頭へ
始末屋ジャック 深淵からの脅威(上)/F・ポール・ウィルスン

『始末屋ジャック 深淵からの脅威(上)』/F・ポール・ウィルスン
文庫: 365ページ
出版社: 扶桑社 (2006/07)
ASIN: 4594051944

内容(「BOOK」データベースより)
九月…愛する家族が標的となった『幽霊屋敷の秘密』の事件直後、ジャックの十歳年上の兄トム・ジュニアから電話があった。いまはフロリダに隠居している、二人の父トムが交通事故に遭い、意識不明の重体で病院に収容されているという。ほとんど表世界に顔を出さなかったジャックは、ニューヨークの闇を抜けて、陽光あふれる南国マイアミに向かう。だが、ジャックがそこで見たものとは?旱魃と暴風雨で荒れた土地フロリダ。その湿地帯には、謎の勢力が潜んでいた…。

2006年06月24日(Sat)▲ページの先頭へ
触手─タッチ(下)/F.P.ウィルスン

『触手(タッチ)(下)』/F.ポール・ウィルスン, (著)猪俣 美江子 (翻訳)
文庫: 269 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4150404844 ; 下 巻 (1988/03)
内容(「BOOK」データベースより)
ダ・タイ・バオ―ベトナムに古来より伝わる奇跡の癒しの力。アラン医師はこの力を得たために妻と家を失い、あまつさえペテン師の汚名を着せられて医師連盟追放の憂き目にあった。そんな彼に救いの手を差しのべたのがマクレディ上院議員だった。だが、この上院議員の申し出も、実は自分の難病を治すためにアランを監禁し、奇跡の力を一人じめする口実にすぎなかった…。『城塞』、『マンハッタンの戦慄』で著名のベストセラー作家が放つメディカル・ホラーの傑作。

2006年06月22日(Thu)▲ページの先頭へ
触手─タッチ(上)/F.P.ウィルスン

『触手(タッチ)(上)』/F.ポール・ウィルスン, (著)猪俣 美江子 (翻訳)
文庫: 310 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4150404836 ; 上 巻 (1988/03)
内容(「BOOK」データベースより)
「あんただ!あんたがそうだ!」浮浪者の薄汚れた手がアラン医師の手を握った。たちまちアランは高圧電流にも似たショックを身体中に感じた。アランが奇跡の人になったのは、その時からだった―触れるだけでいかなる不治の病も治療できるようになったのだ!やがて彼の不思議な治療を受けようと、難病を患う人々が各地から大挙してアランの診療所に押しかけてきた。だが、この奇跡の力にはひとつ問題があった。おかげで、病人たちの間にパニックが生じるが…。

2006年05月16日(Tue)▲ページの先頭へ
夜明けのヴァンパイア/アン・ライス

『夜明けのヴァンパイア』/アン・ライス (著), 田村 隆一 (翻訳)
文庫: 554 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 415040464X ; (1987/09)

※画像は原書 『Interview With the Vampire』

内容(「BOOK」データベースより)
「私がヴァンパイアとなったのは、25歳の時、1791年のことだ…」彼はそう語りはじめた。彼の前にはテープレコーダーが置かれ、一人の若者が熱心に彼の言葉に聞き入っている。彼は語る。アメリカからヨーロッパへ、歴史の闇を歩き続けた激動の200年間のことを。彼をヴァンパイアとした“主人”吸血鬼レスタトのこと、聖少女クロウディアとの生活、東欧の怪異、訪れた破局。―伝説の存在、吸血鬼への驚愕すべきインタヴュー。世界的ベストセラーとなった大作!

2006年04月26日(Wed)▲ページの先頭へ
聖母の日(下)/F・ポール・ウィルスン

『聖母の日(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 白石 朗 (翻訳)
文庫: 253 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594027385 ; 下 巻 (1999/07)

内容(「BOOK」データベースより)
ダンとキャリーはNYに着いた老女の遺体を教会の地下に安置した。すると、次々と奇蹟が起きはじめ、次第に世界中を巻き込む騒動となる。司教リッチオも光に包まれた聖母の姿を目撃するが、翌日、体内の癌細胞はあとかたもなく消えていた。教会には癒しを求める人々が押し寄せる。上院議員クレンショーは、死に瀕した息子を救うため、遺体の極秘入手を計画するが…やがて裁きの日が近づき、大いなる力が動きだす―鬼才F.P.ウィルスンが新たなる「千年紀」到来を迎える世界に問う、異色スリラー。

2006年04月25日(Tue)▲ページの先頭へ
聖母の日(上)/F・ポール・ウィルスン

『聖母の日(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 白石 朗 (翻訳)
文庫: 346 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594027377 ; 上 巻 (1999/07)

内容(「BOOK」データベースより)
1996年、湾岸戦争のさなかにイラクのミサイルがイスラエルの砂漠に落ち、洞窟が現れた。神父ダンとシスター・キャリーは、偶然手に入れた古文書をもとに聖母マリアが眠るという洞窟を探し当て、老女の遺体をNYの教会に移送する。その頃、末期癌に侵されたヴァチカンの司教リッチオは、奇蹟現象を探し求め世界各地を巡り歩いていた。エイズ患者の息子を持つ次期大統領候補クレンショーもまた、あらゆる奇蹟を血眼で探していた―F・P・ウィルスンが女性名義メアリ・E・マーフィーで発表した、壮大な世紀末ホラー。

2006年02月20日(Mon)▲ページの先頭へ
ナイトワールド(下)/F・ポール・ウィルスン

『ナイトワールド(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 広瀬 順弘 (翻訳)
文庫: 385 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594013716 ; 下 巻 (1994/03)

※画像は原書 『Nightworld』

内容(「BOOK」データベースより)
太陽の運行を狂わせ、無数の殺人虫を放って殺戮を繰り返すラサロムの前に、世界は大混乱に陥っていた。グレーケンは、ラサロムを滅ぼすための剣をふたたび手に入れるべく、仲間をルーマニアとハワイへ向かわせる。はたして、ラサロムが完全な成長を終える前に、剣を手に入れることができるのか?そして、太陽を失った「夜の世界」では、ラサロムとグレーケンの最後の決戦の火蓋が切って落とされようとしていた。『ザ・キープ』『マンハッタンの戦慄』『触手』の登場人物が総登場するウィルスン・ホラーの集大成。


ホラーと思って読んでいた『ナイトワールド』。たしかにかなりスプラッターな場面もあって、怖いと言えば怖いのだが、結局これは、グレーケンという善なる存在のヒーローものではないかという感じ。

自分の務めはすでに終えたはずと思っていたグレーケン(『城塞 ザ・キープ』で)。しかし最後はやはり人類はグレーケンに頼らなくてはならなかったのだ。再び悪の存在ラサロムと対決するグレーケンに、ライアン神父や始末屋ジャックが協力していく。

感動的とも言えるラストでは、太陽の光があることが、もう当たり前とは思えなくなっている。グレーケンを始めとする人々の尊い自己犠牲によって、この世界は暗黒から守られたのだ。

これは、『指輪物語』とか『ドラゴンランス』にも通じるテーマだし、ホラーというよりファンタジーといってもいいんじゃないかという気さえしてくる。単に血まみれのホラーではなく、ちゃんと感動できるホラーだった。

人間が弱気になること、それが一番悪につけこまれやすい状況だということなのだが、とにかく諦めず、前向きに生きる姿勢が重要なのだということを強く感じた話だった。グレーケン、素晴らしいです。「指輪」で言えば、アラゴルンの役どころだろうか。面白かった!


2006年02月17日(Fri)▲ページの先頭へ
ナイトワールド(上)/F・ポール・ウィルスン

『ナイトワールド(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 広瀬 順弘 (翻訳)
文庫: 407 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594013708 ; 上 巻 (1994/03)

※画像は原書 『Nightworld』

内容(「BOOK」データベースより)
1941年、ルーマニア奥地の城塞で、光の剣の使い手グレーケンによって滅ぼされた「永劫なる魔性」ラサロム。しかしラサロムは驚くべき復活を遂げ、いまふたたび世界を恐怖と混乱のどん底へと叩きこもうとしていた。宿敵の復活を知ったグレーケンは、かつてラサロムと闘った〈始末屋〉ジャック、ライアン神父、バルマー医師らと共に、ラサロムの野望を阻止すべく立ち上がった。傑作『ザ・キープ』のグレーケンとラサロムの最後の対決を描き、伝奇ホラー六部作〈ナイトワールド・サイクル〉の掉尾を飾る超大作。


昨年末から、F.P.ウィルスンの本を好んで読んでいるが、今読んでいるのは、<ナイトワールド・サイクル>シリーズの最後のもの。これまで<始末屋ジャック>シリーズと併せて何冊も読んできたけれど、これが一番面白い。

今までどうしても評価が★3つ(限りなく4つに近いのだが)止まりだったのだが、これは文句なしに5つつけてもいい。ただし、これだけ読んでも面白いのかというと、そうではなくて、やはり最初から読まないと面白さがわいてこないという代物。

私は途中の『触手(タッチ)』を入手できなくて、それだけが未読なのだが、それ以外のものを全部読んでいるからこそ、最終的に全部のピースが合わさって、面白くなっているんだろうなと思う。ここには、始末屋ジャックも登場する。ここでクロスして、以降は<始末屋ジャック>+<ナイトワールド・サイクル>が合わさった形になっていくらしい。

この中で、ニューヨークのセントラルパークに大きな深い穴が開き(悪の化身ラサロムの仕業)、そこから毎夜化け物が飛び出し、生きているものを殺戮しまくるというところがある。昼間のうちは化け物が姿を現せないので、人間が街をうろつくわけだが、市内のあちこちで略奪が起こる。

こういう場面は、実際に起こったこととしてまだ記憶に新しい。ニューオーリンズのハリケーン被害の時の、あの略奪騒ぎだ。あの時、あれは黒人だからだという声もあったが、私はそうは思わなかった。明日をも知れぬ命の危機にさらされた時、人間にモラルなどなくなってしまうのだと思う。白人だからとか、黒人だからということは、全く関係のないことだろう。皆が正気を失ってしまうのだと思う。

そんな中で、わずかながらの人々が、正義とかそんなことも念頭になく、ただ忠実に自分の職務を遂行しようとする人たちがいる。消防士だったり、警官だったり、市民だったり、それはさまざまだが、そういう姿に、ふと胸を打たれる。

2006年02月11日(Sat)▲ページの先頭へ
闇の報復(下)/F・ポール・ウィルスン

『闇の報復(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 仁科 一志 (翻訳)
文庫: 338 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594019250 ; 下 巻 (1996/03)

※画像は原書 『Reprisal』

内容(「BOOK」データベースより)
リスルを悪の世界に引き込んだ青年レイフは、かつてビルの教え子ダニーを惨殺した謎の女サラと瓜二つだった。それに気づいたビルは、レイフにサラとの関係を問いただす。だがレイフは冷笑を浮かべながら、一つの驚くべき事実を明かした。ビルが五年前に自らの手で埋葬したはずのダニーは、実はまだ生きているというのだ。―復活を遂げた『ザ・キープ』の悪の化身ラサロムと、『リボーン』のライアン神父との終わりなき闘いを描き、傑作『ナイトワールド』へと続くファン待望のホラー巨編、ついに登場。


2006年02月09日(Thu)▲ページの先頭へ
闇の報復(上)/F・ポール・ウィルスン

『闇の報復(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 仁科 一志 (翻訳)
文庫: 310 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594019242 ; 上 巻 (1996/03)

※画像は原書 『Reprisal』

内容(「BOOK」データベースより)
南部の大学町で孤独な生活を送る女性数学者リスルは、美貌と才能に恵まれた大学院生レイフと知り合い、恋に落ちた。選ばれた人間は道徳など無視していいと主張するレイフの影響で、徐々に人格を変えられていくリスル。彼女の数少ない友人だった用務員のウィルは、そんなリスルの姿を見て、ある忌まわしい記憶が甦ってくるのを感じた。それは、五年前、彼がまだビル・ライアン神父と名乗っていたときに起きた、悪夢のような出来事の記憶だった。巨匠F・ポール・ウィルスンが『リボーン』に続いて放つ鮮烈な心理ホラー。


2006年02月07日(Tue)▲ページの先頭へ
リボーン―ナイトワールド・サイクル/F・ポール・ウィルスン

『リボーン―ナイトワールド・サイクル』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 中原 尚哉 (翻訳)
文庫: 528 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594018734 ; (1995/12)

内容(「BOOK」データベースより)
売れないホラー作家ジム・スティーヴンスは、ある日一通の奇妙な手紙を受け取った。なんとジムが、事故死した遺伝学の世界的権威ハンリー博士の遺産相続人に指名されているというのだ。自分とハンリートのつながりを調べはじめたジムは、やがて自分の驚くべき出生の秘密を知ることになった。だがそれは、ジムと妻のキャロルを待ちうける、恐るべき運命の序曲にしかすぎなかった。

2006年01月07日(Sat)▲ページの先頭へ
城塞(ザ・キープ) (上・下) /F・ポール・ウィルソン

『城塞(ザ・キープ) (上) 』/F・ポール・ウィルソン (著), 広瀬 順弘
文庫: 290 p ; サイズ(cm): 15
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042592015 ; 上 巻 (1984/07)

※画像は原書 『The Keep』


カバーより
1941年、ドイツ軍の一部隊が、トランシルヴァニア山脈を縫う山道脇の、小さな城塞に駐屯した。前方は峡谷、広報は弾劾の天然の要害だった。変わっているのは、城塞の所有者は不明ながら、毎年維持費がスイスの銀行から送られてきていることと、城内至る所に、奇妙な形の十字架があることだった。異変は駐屯2日目に起きた。壁石を動かした兵士が、首を引きちぎられた死体となって発見されたのだ。そして、完全な密室の中で、もう一人の兵士が喉を引き裂かれて死んでいた。パルチザンの仕業か、それともこの城には何者かが棲みついているのか?やがて創造を絶するかたちで、第三の殺人が発生した・・・。


『城塞(ザ・キープ) (下)』/F・ポール・ウィルソン (著), 広瀬 順弘
文庫: 310 p ; サイズ(cm): 15
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042592023 ; 下 巻 (1984/07)
カバーより
最初の兵士の死から一週間あまり。ナチスが拉致したユダヤ人学者クーザとその娘、マグダの力によって、城塞の謎は徐々に解明されつつあった。二人は一夜、不思議なものを見たのだ。それこそまさしく、この城塞の主にちがいなかった。だがその姿はあまりにおぞましかった・・・。そして今、グレンと名乗る、正体不明の男が現れた。城塞について詳細な知識を持つこの男は何者なのか?男に次第に惹かれはじめたマグダは、ある日、男の部屋で不思議な物を見た。だがそれが、城塞の秘密を解く重要な鍵であることは知る由もなかった・・・。吸血鬼伝説が息づくルーマニアの古城を舞台に、斬新な手法で描く恐怖小説の傑作。


昨年末から楽しみにしていた、F.P.ウィルソンの<ナイトワールド>シリーズ1作目、『城塞(ザ・キープ)』を読み始め、スローペースだが、とりあえず上巻を読み終えた。これは、私の大好きな(?)吸血鬼もの。

予定では、今頃ステファニー・メイヤーの『トワイライト』(これも吸血鬼)を読んでいるはずなのだが、11月に図書館に予約した時、4番目ですと言われたのに、今もって、まだ4番目のままらしい。なぜ?

たまたまコンピュータ操作が下手なおじさんだったため、それ以上聞くのは無理だったのだが、そろそろ2ヶ月になるというのに、なぜずっと4番目のままなのか、依然として不明。

というわけで、ウィルソンのほうを読んでいるわけだが、<始末屋ジャック>のシリーズもそうだったが、ウィルソンはシリーズの出だしがあまり上手くない。シリーズ全体はそこそこ面白いのだが、どのシリーズも1作目は説明が多くて、うんざりな部分がある。

この作品でも、あらすじも何も知らなければいいのだろうが、吸血鬼ものであるということを知っているだけに、上巻の終わりごろになって、やっと吸血鬼らしきものが出てきたので、待ちきれなくて息切れしそうだ。

だいたい、重要人物のドイツ軍の大尉が、絵を描くのが趣味で・・・なんて、なんか意味があるわけ?と思う。「この景色は水彩ではなく油絵だ」とか、どうでもいいや、そんなこと!早く吸血鬼を出せ!という感じ。

で、やっと出てきた吸血鬼らしきもの(まだ吸血鬼と断言されていない)は、あの吸血鬼の祖ブラド・ツェペシュ(串刺し)候のお友だちらしい。これが出てくるまで、まさかこれも<始末屋ジャック>に出てきた化け物「ラコシ」じゃないだろうな・・・と嫌な予感がしていたのだが、どうやら「ラコシ」ではないみたいなので、とりあえずほっとした。

でも何となく、ただの吸血鬼ものではないという感じもしている。ということは、のちにこのシリーズにもジャックが出てくるところから考えても、何か「異界」に繋がりがあって、やっぱり「ラコシ」が出てくるんじゃないか?と。。。

しつこい化け物は、物によっては嫌いではない(「エイリアン」とか)のだが、ラコシには魅力を感じていないので、またラコシが出てきたら嫌だ。うんざりだなあ。知能もあまり高くないみたいだし、ジャックひとりにやられてしまう程度の化け物だし。

でも、私はなんで吸血鬼が好きになったのかな?「吸血鬼」が好きなわけじゃなくて、「吸血鬼もの」が好きなのだが。ブラム・ストーカーの 『吸血鬼ドラキュラ』 と、マキャモンの 『奴らは渇いている』 のおかげかな?それと、キム・ニューマンの「ドラキュラ」の続編(『ドラキュラ紀元』『ドラキュラ戦記』『ドラキュラ崩御』・・・どれも絶版だなんて、絶句!)も忘れてはいけないだろう。

人間て、根本的に怖いものが好きらしい。怖いものは苦手という人も、実は自分で気が付かずにいるだけで、本当は好きかも。でも「ドラキュラ」などは、まず身近にいないという前提があるから、わくわくして読めるのだが、稲川淳二の怪談なんかは、自分の経験範囲内でリアルに想像できてしまうので、より怖い。というか、全然聞けない。聞いたらもう、トイレに行けなくなる。<意気地なし。。。(--;


だいたい下巻は一気にいくのだが、これもその例に漏れず。内容はホラーのはずなんだけど、だんだん「剣と魔法のファンタジー」みたいになってきて、最後は結局ロマンス?え?という感じだった。それはそれで、それなりに面白かったけど。(^^;

で、問題の吸血鬼だが、ブラド・ツェペシュのお友だちではなく、今の人類以前の古の時代から生きている悪(混沌)の存在で、ブラドをたぶらかして、串刺しの刑とかをやらせていたという話。なーんだ!

ここに出てくる吸血鬼というのは、もちろん人間の血も吸うのだが、それよりも、人間の悪の心や精神、恐怖や憎悪などを主として栄養分としているらしい。そういったものは実体として見えないので、昔の人たちは、血を吸われるということのみを伝説として残してきたというわけだ。

ちなみに、ブラドのお父さんがブラド・ドラキュル(竜王)と呼ばれ、その息子のブラドが、ブラド・ドラキュラ(竜の息子)と呼ばれた。その彼が「串刺しの刑」を好んで使ったので、「ドラキュラ=吸血鬼」となったらしい。ツェペシュ(テペシ)は、「串刺し」という意味のあだ名。

これをやっつけるのが、その吸血鬼と同じ時代から何千年も宿敵としていき続けてきたグレーケンという善の存在。当の吸血鬼を倒せるのは、グレーケンよりもはるか昔に作られた、ルーン文字の剣のみ。グレーケンはその使い手として、何千年の時を生きてきたのだ。いわば、時代を超えたヴァン・ヘルシングといったところか?

というわけで、このあたりから、にわかにファンタジーめいてくる。善と悪、魔法の剣、人類よりも昔に栄えた別の古代文明・・・。個人的には全然嫌いじゃないし、ナチス相手の人道無比な話より、こっちのほうがいいと思うくらい。逆に言えば、こういう展開で良かったとさえ思う。

最後には、吸血鬼と一騎打ちをして勝ったグレーケンと、ユダヤ人の娘の恋愛が実るところで終わるのだが、いろいろ疑問は残るものの、まあ良かったんじゃないかと。(^^;

2005年12月11日(Sun)▲ページの先頭へ
始末屋ジャック 見えない敵(上・下)/フランシス・ポール・ウィルスン

『始末屋ジャック 見えない敵(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 362 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594048730 ; 上 巻 (2005/01)

出版社より
乗り合わせた地下鉄車内で銃を乱射しはじめた殺人狂を手持ちの銃で制し、その場を立ち去ったことから「幻のヒーロー」として、新聞記者に追われる身となった、われらが<始末屋ジャック>。文字通り名前も身分も消して、大都会ニューヨークの無関心のなかに身を潜めてきた裏世界の仕事人に重大な危機が訪れる。他方ジャックは、奇妙な以来を引き受けたが、その依頼人はジャックの消息を知るはずもない、実の姉のケイトだった!そしてジャックが相対することになる、新たな敵の正体とは・・・?


『始末屋ジャック 見えない敵(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 370 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594048749 ; 下 巻 (2005/01)

出版社より
始末屋ジャック・・・。これまで誰にも知られることがなく生きてきた男は、とある事件を契機に、功名心を燃やしたタブロイド新聞の記者サンディに追い回される身となった。他方ジャックの姉ケイトの周辺で起る怪事件は、超自然のものであり、明らかに異界からの侵入であることを示していたが、その敵との戦いは、ジャックにとってこれまで以上に困難な、そして想像を絶するものだった!影のヒーロー<始末屋ジャック>が、超自然の敵を相手に繰り広げる孤立無援、七日間の死闘の結末は?


<始末屋ジャック>シリーズは、わざわざ感想を書くようなものでもないとも思うけれど、とりあえず感想として載せたものもあるし、書いていないものもある。個人的には、あらすじさえわかれば十分。

このシリーズは、★5個に対して、3個くらいの感じだろうか。3個では少ない気もするが、4個をつけるほどではない。というのも、時々状況説明がだるくなることがあるからだ。しかし、なぜ次々に読んでしまうかというと、「始末屋」が、どんな始末をつけるのか、そこに非常に興味をそそられるのだ。

「正義」というのが、どんな定義かにもよるが、正義の味方という言い方は違うだろう。殺しもするし、どんな酷いことでもやるのだから。例えて言えば、必殺仕事人のようなものだ。かといって、自分が納得しないものはやらない。そこが、ちょっとハードボイルドっぽいジャックの魅力となっているのだろうと思う。

にしても、一気に5作続けて読むと、いい加減ちょっと飽きてくる。ひとまずこのあたりでやめておくのが正解ではないかと。ハードボイルドだけなら、こんなに続けて読まなかったかもしれない。そこにホラーの要素があって、なにやら不穏な感じなのが、結構面白かった。

今回は実体のない、まさに「見えない敵」を相手にするわけだが、それがどうやら、例の「異界」との繋がりがあるらしい。人間の脳を占領してうんぬんという話で、ウィルスンの本業(医師)ならではの記述も多い。

また今回は、長年会っていないジャックの姉が登場し、彼女が弟とは知らずにジャックの依頼人となり、さらに異界の犠牲者になってしまう。このあたりのジャックの苦悩は、恋人であるジーアや、その娘ヴィッキーとの関係にも似て、「正義」というよりも、愛するものを狙われた「怒り」が支配しているようだ。「正義」は、「怒り」を媒介として存在するものなのかもしれない。

2005年12月08日(Thu)▲ページの先頭へ
悪夢の秘薬(上・下)/フランシス・ポール・ウィルスン

『悪夢の秘薬(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 343 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594039391 ; 上 巻 (2003/04)

内容(「BOOK」データベースより)
五月…ニューヨークでは、狂暴な暴力の発作を伴う新麻薬が蔓延していた。われらがヒーロー〈始末屋ジャック〉は、製薬会社の女性研究員から、謎のセルビア人ギャングのボス、ミロシュの調査を依頼される。ミロシュはこの新麻薬に絡んでいるらしい。一方製薬会社重役モネを尾行するジャックは奇妙な人体実験を目撃。荒れ狂う被験者のありさまは、新麻薬の発作と同じものだった!単なる脅迫と思えた事件は、奇怪な様相を見せていく。鬼才F・P・ウィルスンが放つ痛快アクションホラー巨編。


『悪夢の秘薬(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 325 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594039502 ; 下 巻 (2003/04)

内容(「BOOK」データベースより)
モネは怪しげな“珍奇博覧会”なる見世物小屋にひんぱんに出入りしている。ジャックは、その見世物小屋に潜入した。そこで彼は驚愕すべきものを目撃する。それは、再びみることはないとおもわれた、魔界の使者ラコシの姿だった。かつて壮絶な死闘を繰りひろげ、死滅させたはずのラコシ!新麻薬とラコシを結ぶ見えない糸とは?ジャックは、かつて倒したはずの敵と再びまみえることに…!ついに映画化される傑作『マンハッタンの戦慄』につらなる好評アクションホラーシリーズ最新作。



2005年12月06日(Tue)▲ページの先頭へ
異界への扉/フランシス・ポール・ウィルスン

『異界への扉』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大瀧 啓裕 (翻訳)
文庫: 557 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594035876 ; (2002/07)

出版社/著者からの内容紹介
モダンホラーの古典的傑作『マンハッタンの戦慄』『神と悪魔の遺産』につづく、第三作!裏世界の仕事人〈始末屋ジャック〉のもとに、行方不明の妻を探してほしいという依頼があった。彼女は〈秘密組織と未承認現象を暴露する協会〉なる怪しげな組織の会員で、近く年次総会で、世界の不可解な現象を解き明かす大統一理論を発表するという。そして、ジャックはこの世ならぬものの跳梁と対決することに……。


『異界への扉』を読了。これは上下分冊になっておらず、結構分厚かったので、今日中に読み終わるかどうか・・・と思っていたのだが、順調に読み進んで、無事読み終えた。

この話は、ミステリなのか?ホラーなのか?とずいぶん迷った。私の感覚ではホラーとは言い難いのだが、一応ホラーの部類なのかなあ?・・・まだ迷っている。

始末屋ジャックが、UFOやエイリアン、オカルト、世界陰謀説などを信じている人たちの集会に潜入して、行方不明の女性を探す話なのだが、ジャックは、はなからそういった話を馬鹿にして、せせら笑っているといってもいいだろう。

ところが、最後はほんとに異世界が出てきてしまう。異世界のブラックホールみたいな穴に、吸い込まれそうになるのだ。そこには、1作目の『マンハッタンの戦慄』に出てきた化け物ラコシがいて、ジャックに復讐したがっているらしい。ラコシの姿は出てこないが、その存在を示すような話が出てくる。

というわけで、『マンハッタンの戦慄』は、ラコシの存在から、ホラーのジャンルに入れたのだが、そうなると、これもホラーになるだろうと思うのだ。怖いばかりがホラーではないか、と。

ちなみに、私はUFOもエイリアンも信じていて、その手の話は大好きなので、この本に出てくるような集まりに行ってみたいなとも思うのだけれど、どうもこの「異界」というのは嫌だな。「異界への扉」なんかなくていいよ、と。

その異界の生き物が(人間の感覚からしてノーマルではない姿のものが多いらしい)、今私たちが認識している地球(あるいは宇宙)を征服したがっているようなのだが、この本の結末では、とりあえずの危機は回避されたが、異界そのものはまだ残っているわけで、この先もこの話は続くのだろうと思わせる。

<始末屋ジャック>シリーズとしては、作者の筆も乗ってきたようで、ユーモアも増えて、ジャックの印象もだんだん良くなってきている。でも、今回のような話になると、単なる「始末屋」じゃなくて、ヴァン・ヘルシングみたいなモンスターハンター的な様相も呈してきているかも。

2005年12月03日(Sat)▲ページの先頭へ
マンハッタンの戦慄(上・下)/フランシス・ポール・ウィルスン

『マンハッタンの戦慄(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 346 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594006191 ; 上 巻 (1990/08)

●画像は原書 『The Tomb (Repairman Jack Novels)』/F. Paul Wilson

内容(「BOOK」データベースより)
巨大都市ニューヨーク。それは現代の魔都だ。この街の裏側では想像もつかない闘いがくりひろげられていた。酷暑の夏、マンハッタンでは街の浮浪者が次々に姿を消すという事件が起こっていた。しかし、その原因は誰にもわからなかった。一方、「保安コンサルタント」こと、非合法の世界で危ない仕事をこなす〈始末屋ジャック〉は、国連のインド外交官だという不思議な男クサムから、路上の強盗に奪われたという家宝のネックレスの捜索を依頼された。ジャックが首尾よくネックレスを取り戻すのと前後して、彼の周辺で奇妙な事件が続発しはじめた。老婦人の失踪、ジャックを誘惑する謎の美女。いくつもの手掛かりが結びつき、驚くべき謎の正体が解かれていく。


『マンハッタンの戦慄(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 367 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594006205 ; 下 巻 (1990/08)
内容(「BOOK」データベースより)
〈ラコシ〉―それは鋭い牙と鉤爪を持ち。黄色い眼を光らせ。人肉を食らうこの世のものならぬ魔物だった。太古の旧支配者がつくり出した醜悪な怪物〈ラコシ〉を操る力をもった怪人クサムは、百三十年前に、インドの寺院からイギリス軍人ウェストファーレン大尉に財宝を盗まれた怨みを晴らし、その子孫を根だやしにすべく、はるばるニューヨークまでやってきたのである。愛する少女ヴィッキーを護るため、始末屋ジャックは死力をつくして戦うが、クサムと彼が放つ〈ラコシ〉は執拗に襲いかかってくる。吸血鬼小説『城塞』で注目されたF.ポール・ウィルスンが、現代の魔都ニューヨークを舞台に描く入魂のオカルト伝奇ホラー巨編。

2005年09月29日(Thu)▲ページの先頭へ
ザ・ダークホース/マーカス・セジウィック

『ザ・ダークホース』/マーカス・セジウィック (著), Marcus Sedgwick (原著), 唐沢 則幸 (翻訳)
単行本: 263 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: 理論社 ; ISBN: 4652077300 ; (2003/07)

内容(「MARC」データベースより)
若きリーダーひきいる部族に襲いかかる殺しの集団「漆黒の馬」とは何か? 部族の一員となった「オオカミの娘」の秘密とは? 古き北欧の部族抗争をリアルにドラマ化する。

2005年09月28日(Wed)▲ページの先頭へ
Witch Hill ─ 魔女が丘/マーカス・セジウィック

『Witch Hill―魔女が丘』/マーカス・セジウィック (著), Marcus Sedgwick (原著), 唐沢 則幸 (翻訳)
単行本: 253 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: 理論社 ; ISBN: 465207722X ; (2002/12)

内容(「MARC」データベースより)
火事で家を追われた少年は、クラウンヒルの村で炎と老婆の悪夢におびえる。村に埋もれた遺跡、突然死に隠された秘密。ヴァルプルギスの夜、すべての謎がひとつになり、伝説はよみがえる…。息づまるサスペンスホラー。


今日1冊読み終えたマーカス・セジウィック、どこかで聞き覚えがあると思って気になっていたのだが、去年1冊読んでいたのを思い出した。

「クリスマスの翌日から大晦日までの6日間を「Dead Days」と言うのだそうだ。というわけで、この期間に合わせて読もうと思って、ずっと楽しみにしていたのだが、いざ読んでみたら、全然面白くなかった」という 感想『The Book of Dead Days』 である。あ、この作家だったのか〜!と、がっくりきてしまった。「馬鹿にしてる!ああ、がっかりだ!つづきなんか絶対読まない!」とひどいものだ。これをすっかり忘れていたのだから、なおさらひどい。

全然面白くないどころか、例え大嫌いだと思っても、それを覚えている作品は、それなりに成功しているとも言えるが(好き嫌いなどは人それぞれだし)、全く記憶に残らないものというのは、それこそ箸にも棒にも引っかからないというやつなんだろう。

翻訳は唐沢則幸氏で、割と好きな翻訳家なのだが、それでも面白くないのは作家のせいだろう。子供向けの文体だから良くないのかと思って、違う文体で考えてみたけれど、やっぱり面白くない。

問題は、セジウィックが次々に全く違う作品を書くことで、1冊読んで懲りたにも関わらず、「今度のは面白いのかもしれない」などと期待してしまうことだ。シャロン・クリーチとか、アニタ・シュリーヴみたいなものかも。実際、今日読んだものは魔女ものだが、もう1冊借りたものは、狼に育てられたネズミという、まるで世界が違うものなのだから、もしかしたらと思ってしまうのは無理もない。

2005年04月03日(Sun)▲ページの先頭へ
ハードシェル/ディーン・R・クーンツ、エドワード・ブライアント、ロバート・R・マキャモン

『ハードシェル ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション』/ディーン・R・クーンツ、エドワード・ブライアント、ロバート・R・マキャモン (著), 大久保 寛 (翻訳)
文庫: 476 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4150405735 ; (1990/03)

内容(「BOOK」データベースより)
英米ではホラー・アンソロジーがブームだが、中でも〈ナイトヴィジョン〉シリーズは独自の編纂で知られる。つまり、3人の作家がそれぞれ250枚の中短篇を各巻に書き下ろすことで、一作家一短篇に限られた従来のアンソロジーにつきまとう物たりなさを解消したのである。本巻には、ベストセラー作家ディーン・R・クーンツ、SF界の実力派エドワード・ブライアント、クーンツをしのぐ人気作家ロバート・R・マキャモンの3人を収録する。


目次
●ディーン・R・クーンツ集
「フン族のアッチラ女王」、「ハードシェル」、「黎明」

●エドワード・ブライアント集
「捕食者」、「バク」、「フラット・ラット・バッシュ」、「亡霊」、「荷物」、「コルファックス・アヴェニュー」

●ロバート・R・マキャモン集
「水の底」、「五番街の奇跡」、「ベスト・フレンズ」

※原書 『Hardshell (Originally Published As Night Visions 4)』/Dean R. Koontz, Edward Bryant, Robert R.McCammon


ホラー・アンソロジー『ハードシェル』を読み終える。正確に言えば、「ナイト・ヴィジョン」というシリーズの4巻目で、副題が「ハードシェル」といったところか。

このアンソロジーが他のアンソロジーと違うのは、各作家がそれぞれ1編ずつというものではなく、250枚という枠を設けて、その中でいくつ書いてもいい、あるいは250枚の作品1編でもいいという形式になっているところ。なので、当然収録されている作家の数も少ないし、お気に入りの作家がいれば、たとえ他の作家が好きでなくても、それほど物足りなさはないだろう。

実際に、以前ディーン・R・クーンツ(現在はミドルネームのRはつけない)には結構はまっており、長編をいくつか読んでいるし、マキャモンは言うまでもない。エドワード・ブライアントは知らない作家だが、万一クーンツとブライアントが面白くなくても、マキャモンさえ読めればいいといった感じ。

読んだ感想としては、クーンツの文章はやはり上手いと思うのだが、明らかな寓意を感じて、それにちょっと引いてしまった。トールキンが言うように、寓意を感じさせる小説は好きじゃない。今まで長編しか読んでいないので、クーンツの短編は初めてだったのだが、寓意さえなけば・・・と残念。

殺しても死なない殺人犯(実は宇宙人)を追う刑事が、絶体絶命の時に明かした真実は、実は自分はもっと強い宇宙人だったとかって、それあり?って感じで、驚きもしたけれど、あきれもした。でも、いくらなんでもそこまでは考えつかなかったなあと、やっぱり感心した。

ブライアントは、まったくダメ。作風が私の好みには全然合わない。ホラーの中に精神異常者の怖さというのも含まれるとは思うが、それって、正常者(何が正常かわからない場合もあるが)と異常者の対比があって、初めて怖いのであって、異常者ばかりの世界を書かれても、ヴァージニア・ウルフ状態だ。

もちろん、そんな話ばかりではないのだが、作品に必ず「作者付記」というのがついていて、そこで作者の意見を言ってしまっているので(それもフィクションなのだが)、読者が自由に解釈できないといううっとうしさがある。

マキャモンは、今さら「やっぱりマキャモンだよね」と言っても、またか!と思われるのがおち。でも、やっぱりマキャモンはいい。短編の場合、マキャモン特有の善のヒーローは出てこないのだが、独特の怖さ(怖さについては、むしろ短編のほうが秀逸)を醸し出している。

「水の底」という作品では、プールで溺死した少年の父親が、あのプールには何かがいる、息子は溺れたのではなく「それ」に殺されたのだと信じ、一人で誰も泳がなくなった汚れたプールに入っていくという話なのだが、誰もいない夜のプール、しかも手入れもされていないから、得体の知れないものがそこここに浮かんでいる。その中を泳ぐ恐怖は、読んでいるほうも一緒に水の底に潜っているみたいで、非常に怖い。常々水の中は怖いと感じているだけに、その恐怖はなおさらだ。

実際に、プールの中にはとんでもない怪物が潜んでいて、父親は「それ」と対決したわけなのだが、汚れた水の中の描写はものすごくリアルで、二度とプールでは泳げないかも・・・なんて。

マキャモンの3編は、ここから『スティンガー』や『狼の時』に繋がっていったのだろうと思わせる部分もあり、そういう意味でも興味深かった。他の二人はともかく、マキャモンの3編を読めたことがうれしい。

2005年03月31日(Thu)▲ページの先頭へ
狼の時(上・下)/ロバート・R・マキャモン

『狼の時 (上)』/ロバート・R・マキャモン (著), 嶋田 洋一
文庫: 367 p ; 出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042661025 ; 上 巻 (1993/12)

※画像は原書 『The Wolf's Hour』/Robert R. McCammon

内容(「BOOK」データベースより)
砂嵐が吹き荒れる灼熱の大地。砂漠の狐ロンメルはヒトラーの望んだ戦利品・スエズ運河をめざしていた。勝利は目前だった。ところが、テントでの作戦会議を終えた将校たちは、緑色の眼をした黒い狼に襲われる。ほとばしる野性と冷徹な知性をあわせもつ獣はナチスの機密書類を奪い砂塵の彼方へ消えた…。ホラー小説を越えた新境地を切り開く異色長編。


『狼の時 (下)』/ロバート・R・マキャモン (著), 嶋田 洋一
文庫: 484 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042661033 ; 下 巻 (1993/12)
内容(「BOOK」データベースより)
英国軍少佐として特別な指命をうけたガラティンは人狼だった。ロシアに生まれたガラティンは、革命の嵐の中、幼少にして天涯孤独の身となる。少年は、狼と人間の血を引いた人狼に拾われる。細菌に冒され、脳の中の野性が目覚め、肉体までもが変容する人狼。少年は過酷な試練に耐え、彼らに全てを学び、イギリスに渡った…。


マキャモンの作品は、ほとんどがアメリカを舞台にしたものだが、これは珍しく、ロシアとヨーロッパが舞台となっている。時は第二次大戦中、ナチスドイツが力をふるっている頃。ロシアで生まれ、子どものときに人狼に咬まれたため、自身も人狼になってしまったガラティンは、イギリスに渡って英国軍に入り、スパイとなる。つまり、007と狼男を足したような話。

マキャモンの小説には、いつもはっきりとした善と悪が存在するが、ここでの悪は、とりあえずヒトラーなんだろう。しかしヒトラー自身は登場せず、ガラティンはナチスの極悪将校たちと戦う。

彼の他の小説では、主人公が個人的に善であると思ったことをやり遂げ、徹底的に悪を滅ぼし、最後にはヒーローとなるといった図式が多く、私もそういう話が好きなのだが、この作品では、主人公がスパイという性質上、命令によって動いているわけだから、主人公自身が善であるとは言い切れない。事実、狼になっているときのガラティンは、人を殺したくてたまらなくなるわけだし、一人一人の悪人を倒しても、ヒトラーという大きな悪を倒したわけではない。

というわけで、善悪ということは今回はちょっと脇に置いておくとして、狼男であるという苦悩もあるものの、ガラティンの超人的な活躍には胸が躍る。それにしても、年中敵と戦って大きな怪我をしているので、痛そうだなあと思わずにいられない。この場合ホラーとは、戦争時の人間の残虐さと、ガラティンの傷の痛みかもしれないなと。

いつものマキャモンとは違うという感覚がずっとあったが、全体としてみれば、すごく面白い話だったし、やっぱりマキャモンはページターナーである。



2005年03月24日(Thu)▲ページの先頭へ
スティンガー(上・下)/ロバート・R・マキャモン

『スティンガー〈上〉』/ロバート・R・マキャモン (著), 白石 朗 (翻訳)
文庫: 460 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594006965 ; 上 巻 (1991/03)

内容(「BOOK」データベースより)
テキサスのさびれた鉱山の町インフェルノの郊外に空から巨大な黒いピラミッド状の物体が落下した。その異様な物体は紫の光を発し、町を外部から遮断する。内部から出現したのは"スティンガー"(刺あるもの)―この町に逃げ込んだ逃亡者"ダウフィン"を追って現れた第二のエイリアンだった。"スティンガー"は人間そっくりの分身をあやつり、"ダウフィン"の引き渡しを迫る。対決か、降伏か。閉鎖空間に展開する二十四時間の人間ドラマ。これこそモダンホラーの新時代を拓くマキャモンが放つ絶対の自信作だ。


『スティンガー〈下〉』/ロバート・R・マキャモン (著), 白石 朗 (翻訳)
文庫: 469 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594006973 ; 下 巻 (1991/03)
内容(「BOOK」データベースより)
地球に不時着した逃亡者"ダウフィン"の引き渡しを迫る"スティンガー"は町の人間を一人ずつ殺しはじめる。日ごろ抗争をつづける白人系とメキシコ系、二つの不良少年グループは"スティンガー"に敢然と立ち向かうが―。異星生物の弱点とはなにか?人間たちと"ダウフィン"に勝ち目はあるのか?まるでハリウッド映画の面白さをすべて詰め込んだような、究極のホラー&サスペンス。「怖くて面白くてハラハラドキドキさせて、カッコよく泣かせる」モダンホラーの最新傑作がやってきた。


※画像は原書 『Stinger』/Robert McCammon
ロバート・R・マキャモンのコーナー


マキャモンを読み始めたら他はどうでもよくなってしまうので、マラマッド・プロジェクトもあるし、ユダヤ関連の本も読まなくてはならないしで、ここしばらくは「おあずけ」と思っていたのだが、つい魔が差して、手にとってしまった・・・やっぱりマキャモンは面白い!

どんなとんでもない不良でも、マキャモンの手にかかると、いつの間にかヒーローになっている。敵対する不良グループのリーダー、リックとコディ。どちらも実はいい奴で、自分を犠牲にしても、誰かを守り抜くタイプ。これって、どちらがヒーローになるんだろう?どちらもヒーローの資格がある。下巻ももうすぐ読み終えそうなのだが、結末がどうなるかわくわくして、どんどん進んでいく。

状況設定がキングの 『Dreamcatcher』 に似ていないこともないのだけど、それよりはるかに展開がスピーディだし、はるかに品がある。キングのは、もう勘弁してよというくらい場面が汚かった(言葉だけでなくあらゆる意味で)。マキャモンのほうは、たしかに汚い言葉も頻繁に出てくるのだが、その後に必ず、「そんな言葉はダメよ」という旨の発言がある。そういうところが、いつもマキャモンらしいと思う。キャラクターの設定上、そういう言葉を使わざるを得ないから仕方がないのだが、一応注意は促してあるという次第。

最近、面白くて、ドキドキして、途中でやめられないという本にお目にかかっていなかったのだが、久々にそういう本に会ったという感じ。お風呂の中で読んでいると、いつの間にかお湯が冷たくなっている。長風呂になる原因はマキャモンだったのだ。

マキャモンの描くヒーローは、けして偉ぶったりしないし、特に見かけがカッコイイわけでもない。時にはヨレヨレのおじさんだったり、死にかけている中年男だったりするのだが、だいたいが心の優しい人間で、自分がヒーローになるなどとは思ってもいないのだけれど、結局そういう人間が人を救うのだ。そういうところに、いつもぐっとくる。これは個人の好みもあるだろうが、マキャモンの描くキャラクターは、私の感覚にストレートに入り込んでくる。

まだ読んでいない作品もあるので、全部が全部そうだとは言えないし、これまで読んだ中で、共感できない主人公もいるにはいた。それでも、毎回マキャモンっていい人なんだなあと思わずにいられない。ホラー小説なのに、読後がすがすがしく、暖かい気持ちにさせる作家なんて、今のところ他には見当たらない。作品=作家ではないとは言うけれど、フィクションの場合、ある程度は作家の性格は現れると思う。

さて、ヒーローはリックなのか、それともコディなのか?と楽しみにしながら、結末にたどり着いたが、最終的なヒーローは、リックの父親カートなのかな?それまで、全然ダメな親父だったのだが、最後の最後に皆を救う役割。映画『インディペンデンス・デイ』で、自分の命を犠牲にしてUFOに突っ込む、あのダメ親父と一緒である。つまり、美しい自己犠牲の精神てやつだ。

そして、リックとコディは引き分け。これまでいがみ合ってきた不良同士だが、これを境に友情へと変わっていくのだろうという思いを抱きながら、それぞれの街に帰っていく。二人は立派な男になるだろうなという期待をさせながら。

ロバート・R・マキャモンの「R」は、リックである。他の作品にも、リックという名前が出てくるが、リックという登場人物に、マキャモンは自分を投影させているのだろうか?とも思う。巻末の解説には、次のようなことが書いてあった。

「マキャモンは、人間のうちなる善を信じている。「<悪い人>っていうのは、たんに救いの手立てが見つからないだけなんだ。たぶんこんな考え方はナイーブなんだろうけど、でもロマンティックじゃないか、そう思いたいね」とは彼の弁」

やはり、マキャモンっていい人なんだ!

2005年03月20日(Sun)▲ページの先頭へ
渇きの女王―ヴァンパイア奇譚/トム・ホランド

『渇きの女王―ヴァンパイア奇譚』/トム・ホランド
文庫: 585 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4150408572 ; (1997/11)

内容(「BOOK」データベースより)
血液学を研究する医師エリオットは、吸血鬼伝説が囁かれるインド国境で、身の毛もよだつ体験をしたあと帰英した。ロンドンで診療所を開いたが、悪夢は故国までも追ってきた。親友の一人が血を抜かれてテムズ川に浮かび、もう一人が失踪したのだ。友の行方を追うエリオットは劇場支配人ブラム・ストーカーと知りあい、二人はヴィクトリア朝ロンドンを跳梁する吸血鬼の正体をさぐっていく。


内容は、上記のようなことで、インド生まれの吸血鬼がロンドンで暗躍するという話。とはいえ、これは病気だと考えられていて、主人公である医師エリオットは、なんとかその原因をつきとめ、治療法を見つけようとするのだが・・・。

スタイルは、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』と同じようなもので、エリオットの日記と、周囲の人間の手紙、さらにブラム・ストーカー(のちに『ドラキュラ』を書く)の手記といったもので構成されているのだが、ドラキュラのようなカリスマ的な魔人が登場するわけではなく、今いち迫力に欠ける。この話の吸血鬼の親玉は、インドの女神破壊神カーリーってことになるのだろうか?絶世の美女が何人も登場して男を誘惑していくのだが、そのあたりがお手軽すぎるという感じもする。ま、ドラキュラも似たようなものか。

しかし、先述のブラム・ストーカーや、オスカー・ワイルドなど、実在の人物も登場し、また本書の登場人物の大部分が、『ドラキュラ』の登場人物の焼き直しといった感じで、そのあたりはキム・ニューマンのヴァンパイアものにも通じる面白さがある。

『ドラキュラ』を読んだときは、怖い!怖い!と思ったが、これは全然怖くない。謎めいた心霊的な描写がないせいか?たしかに死んだはずの人間が生き返るのは同じなのだが、いつの間にか生き返っていたというわけで、実際に棺おけからは出てこない。心臓を狙って殺せば、すぐに死ぬ。インド出身の吸血鬼というのも、イメージ的にピンとこないのかも。

さて、さきほど実在の人物が登場すると書いたが、実は最後にあっ!と思わせる仕組みが隠されていた。女吸血鬼リラ(インドのカーリーであり、ギリシアではキルケ、ユダヤではリリスであるとされる時空を超えた不老不死の存在)のほかに、もうひとりルースヴェン卿という吸血鬼が登場するのだが(こちらのほうはドラキュラのイメージがある)、この紳士は、なんと、あの詩人のバイロン卿だったというのだ。バイロン卿が吸血鬼となって、延々と生き続けているというのだ。

さらに、主人公のジャック・エリオットだが、最後には女吸血鬼リラによって洗脳され、これまたびっくりの「切り裂きジャック」となってしまったのだ。そして、リラの呪縛が解かれた時、「切り裂きジャック」は消えたが、バイロン卿と同じ吸血鬼となり、苦悩を抱えながら生きていくといった次第。

ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』では、ヴァン・ヘルシング教授という善のヒーローが登場し、吸血鬼をやっつけるという顛末になっているのだが、この本にもヴァンヘル役とおぼしき人物はいる。インド人の巨漢フレー教授である。しかし、インド出身の吸血鬼もぴんとこないが、インド人の巨漢がヴァンヘル教授の役まわりというのも、全然ぴんとこない。結局、フレー教授は吸血鬼退治には何の役にも立たなかったし。

しかしこの本の面白さは、そうした読者への裏切りで成り立っているかもしれない。ストーカーの『ドラキュラ』を読んでいる人は、まずスタイルが『ドラキュラ』と同じことに気づき、さらに、これがヴァンヘルだな、などと思って期待する(あるいは、なんだ真似じゃないかと思う)のだが、吸血鬼はずっと生き残っているし、主人公は切り裂きジャックになってしまうし、ヴァンヘル役の吸血鬼の大家は何の役にも立たないというのがわかると、まんまと騙されたなと思い、思わずニヤリとなる。

また、エリオットと作中のブラム・ストーカーのコンビは、シャーロック・ホームズとワトソン博士のようでもあり、その謎解きの仕方も、ホームズそっくりである。そんなところも、ホームズ作品を知っている人なら楽しめる部分だ。

ちなみに、インド出身の吸血鬼はぴんとこないと書いたが、訳者あとがきによれば、学者や研究家の多くは吸血鬼発祥の地をインドだと主張しているそうだ。しかし、それはそれでいいが、どうやっても滅ぼすことのできない神のような存在として描かれてしまうのは、なんとも救いがないような気がする。「エイリアンVSプレデター」みたいなもので、どっちが勝っても「人類に未来はない」といった感じだ。吸血鬼をやっつけられないとしたら、いずれ地球は吸血鬼だらけになってしまうだろうに。

そこで、ドラキュラがエリザベス女王と結婚して人類征服を図るなんて話が出てくるわけだが、それはまた別の作家の話。それからの話はキム・ニューマンに譲ろう。

2005年02月02日(Wed)▲ページの先頭へ
ミッドナイト・ブルー/ナンシー・A・コリンズ

『ミッドナイト・ブルー』/ナンシー・A・コリンズ (著), Nancy A. Collins (原著), 幹 遙子 (翻訳)
文庫: 396 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 早川書房 ; ISBN: 415020229X ; (1997/01)


内容(「BOOK」データベースより)
Tシャツの上に黒の革ジャン、懐には銀のナイフを忍ばせ、美しいその顔には常に瞳を隠すサングラス…彼女の名はソーニャ・ブルー。彼女には、人の目には見えぬこの世界の真の姿を見ることができた。この世界に重なって存在する「真世界」―そこは、吸血鬼、人狼、オーグルが人の身体をまとって闊歩する驚くべき世界だった。そして彼女こそ、この「偽装者」たちを次々と倒してゆく、怖るべき力を秘めたハンターであった。英国幻想文学賞、ブラム・ストーカー賞受賞。


主人公のソーニャ・ブルーは、本名デニーズ・ソーンという大金持ちの令嬢だったが、ロンドンで遊んでいたところ、見知らぬ男性にさらわれ、血を吸われて捨てられる。そこからソーニャ・ブルーとしての人生が始まる。つまり、彼女もまた吸血鬼となったのだ。だが、様々な条件が重なり、単なる吸血鬼ではなく、ものすごいパワーを持って、悪い奴らをやっつけるモンスター・ハンターとしても活躍する。

こう書くと、善の側のヒロインみたいだが、実はそうではない。ややこしいのは、もとの姿であるデニーズ・ソーンと吸血鬼ソーニャ・ブルーという二つの人格の裏に、<彼女>というとてつもない人格がひそんでいることだ。<彼女>が表に出ると、とんでもなく凶暴なキャラになってしまうのだ。そして、見境もなく周囲の者を殺戮していく。その殺し方も半端ではない。

ソーニャ自身は、人を襲って血を吸うことをよしとしないし、悪者のモンスターをやっつける「吸血鬼ハンター」あるいは「モンスター・ハンター」と言われてはいるものの、結局は自分を吸血鬼にした男と、自分を探している両親を苦しめる、インチキ伝道師に復讐するために動いているだけだ。つまり、人類のためにモンスターを退治しているわけではないのだ。

解説には「なぜ吸血鬼だけがそれほどもてはやされるのだろう。・・・さまざまな理由が考えられるが、何よりも彼らには<吸血鬼>という属性の前に誇示としての名前があるからではないだろうか」とあるのだが、いくら名前があっても、3重人格では、個人のキャラとしてのインパクトが弱いんじゃないだろうか。ソーニャが主人なのか、凶暴な<彼女>が主人なのか、読者は迷ってしまう。

吸血鬼ハンターと聞いて、『ドラキュラ』のヴァン・ヘルシング博士を思い浮かべていた私は、こんな極悪非道な吸血鬼ハンターなんて、認められない!という感じになってしまった。だって、この人自身がモンスターなんだから。それに、夢の中の話を織り交ぜるというのは、とにかく好きではない。何でもありになってしまうから。

2005年01月23日(Sun)▲ページの先頭へ
Dreamcatcher/Stephen King

『Dreamcatcher』/Stephen King (著)
マスマーケット: 896 p ; 出版社: Pocket Books (Mm) ; ISBN: 074343627X ; (2001/12/01)


<内容説明>
昔々。呪われた街、デリー(『It』や『Insomnia』の舞台と同じあの街)で、4人の少年が力を合わせ、ある勇敢な行動をとった。そのときは知るよしもなかったが、その行動は少年たちをある意味で変えたのだった。

20年後。かつての少年たちは成人してそれぞれの生活を営み、それぞれの問題を抱えている。お互いにまったく関係を断っていたわけではなく、狩のシーズンになると、4人組はメイン州に集まることになっていた。そして、その年。彼らのキャンプに見知らぬ人物が迷い込み、右も左もわからぬ意識の中で何かぶつぶつと、「空の光」のことを口走っていた。しかしその支離滅裂なたわごとは、ある不穏なできごとを予知していたことが明らかになり、まもなく4人は、別世界からの生き物との恐ろしい闘いを余儀なくされることになるのだった。 彼らが生き残る唯一の道は、少年時代のあの記憶の中に引きこもることだった。…そして、「ドリームキャッチャー」の中に。

『Bag of Bones』(邦題『骨の袋』)以来の長編だが、これは「記憶」と「勇気」の物語と言える。少年時代の記憶という、この恐るべき領域から物語を語るのはあの『The Stand』(邦題『ザ・スタンド』)以来だし、それよりも「闇の中核」に、ここまでがっぷり四つに組んで戦うのは初めてのことだ。


嫌だ、嫌だと思いながらも、キングの『Dreamcatcher』を読了。そこに「ベーコンサンドイッチ」が、これでもか!ってくらいに登場(人間の体を乗っ取った宇宙人がベーコンを気にいってしまったのだ)してきたので、それが無性に食べたくなり、昨日材料を買っておいた。

で、今日の昼食に作って食べた。ベーコンサンドではなく、ベーコンエッグサンドイッチだけど。もちろんマヨネーズたっぷりで。マスタードとケチャップも忘れずに。カロリーが高いから、しばらく禁じていたんだけど、やっぱりおいしい。ちなみに、蛋白質抜きで、つまりケチャップとマヨネーズだけのサンドイッチも結構いけるのだ。マジで。

しかし、キングの『Dreamcatcher』の内容説明を見ると、あんな排泄物中心の話に、よくこれだけ大層なことが書けるなという感じで驚いてしまう。

「これは「記憶」と「勇気」の物語と言える。少年時代の記憶という、この恐るべき領域から物語を語る・・・」というのだが、そう言われてみれば、たしかにそうなんだけど、じゃあ、これって、結局は少年時代の記憶の中で生み出した、夢のようなものなのか?宇宙人うんぬんも、夢の中の話?

でも実際に人が死んでいたりするわけで、それも記憶の中から作り出した、宇宙人などとは全く関係のない、人間が行った行為だというのだろうか?なんだかよくわからないのだが、これに限らず、「これは夢だった」というストーリーは、「ナルニア国物語」や、オースターの「ルル・オン・ザ・ブリッジ」をはじめ、誰の作品でもがっかりさせられる。

ともあれ、キングのこの本は、気持ちが悪かった。なのに、そこに出てきた「ベーコンサンドイッチ」を食べたくなるというのも、ちょっとどうかとも思うし、嫌だ、嫌だと言いながらも読むのをやめられないというのは、どういうわけなのか。

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