Book Plus

Reading Diary
2005年01月12日(Wed)▲ページの先頭へ
ルーカス(BOOK PLUS)/ケヴィン・ブルックス

『ルーカス』 BOOK PLUS/ケヴィン・ブルックス著・林香織訳
単行本: 358 p ; サイズ(cm): 19
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4048970445 ; (2004/12)


[内容紹介]
イギリスの小さな島で繰り広げられる、少女と孤独な少年の運命的な出逢いと別れ。忘れられない青春時代の想い出がよみがえり心揺さぶられる、現代の癒しの物語。


コーマック・マッカーシーの『越境』と併読だったが、文学としては、やはり大きな差を感じる。比較するほうが気の毒とは思うが、たまたまそういう状況だったので、仕方がない。

マッカーシーの描く主人公の淡々とした「孤高さ」に比べると、『ルーカス』の感情たっぷり、思い入れたっぷりの自分勝手な主人公には辟易する。こういう主人公を見ると、もう少し落ち着いて、静かにしてくれと思う。よくあるドタバタな小説ではないけれど、精神的に落ち着きのない少女だなと思う。

この主人公、あれはいけないとか、誰は間違っているとか、気の毒だとか、言うことは立派なのだが、行動が伴わず、結局は何もできない。挙句の果てには、突拍子もないことをして、周囲に迷惑をかける。まだ子どもだから仕方がないとも思えない。だったら、静かにしてなさいと。でも、こういう人間ているんだよねとも思う。

主人公が出会う不思議な少年ルーカスは、どこかカール・ハイアセンの『HOOT』に出てくる少年を思い起こさせ、この静かな、だが決然とした少年の存在が、作品を救ったとも言えるだろう。悲しい結末は予想外だったが、この少年には大きな魅力があった。この少年によって、主人公の少女も救われる。

人間の社会に、いつの世も存在する邪悪さゆえ、この結末以外にはありえないという絶望とともに、ある意味でルーカスもまた「孤高」であり、群れた愚かな人間の犠牲になったのだと悲しく思った。この汚れた社会では、「孤高」という言葉は、もはや存在すら危うい。

清く、正しく、美しくとは、社会に迎合せず、孤独でなければできないことなのかもしれない。

2004年12月18日(Sat)▲ページの先頭へ
姉の歌声を探して(BOOK PLUS)/リサ・ジュエル



カバーより
イギリスの人気女性作家が贈る、大人色のシンデレラ・ストーリー。
はじまりは、長く消息を絶っていた姉の急死。知らせを受け取った妹のアナは、信じられない思いで彼女が最期を遂げたロンドンへやってきた。元ポップ・スターで、自分とは正反対の社交的な美人だった姉のビー。けれど彼女の住まいは期待を裏切られるほど味気なく、侘しいものだった─。遺されていたのは知らない男にあてた一篇の詩と、手つかずの大金。いったい、姉に何があったのだろう?彼女はなぜ、死んだのだろう?

ビーの親友たちに出会い、姉の真実を探る中で、片田舎でわがままな母親に縛られていたアナの人生は、急激に溶け出してゆく。そして知るのは、大きな悲しみに包まれていた姉の孤独と、アナにとってはじめての、心からの愛。


シンデレラ・ストーリーなんて書いてあるから、楽しい話かと思ったら、冒頭から死臭の漂うくらい話だった。最後はハッピー・エンドになるのだが、どんなに明るくしても、最初に嗅いでしまった死臭が抜けず、ずっと不気味な感覚がつきまとった。話としてはいい話だと思うのだが、汚い言葉も多く、女性作家なのにそこまで書くか・・・といった感覚になってしまい、非常に残念。

主人公の恋人になる男は、絶対守ってやるというタイプで、なかなかいい感じだったんだけど、身長180センチで、3日もオフロに入らなかったり、シャンプーをしてなくても気にならないような主人公には、まるで共感がわかなかった。そもそも、身長180センチの女の子の気持ちが、私にわかるはずもない。羨ましいと思うばかりだ。身長が違うと、絶対に世界観も違うだろう。

話の構成は面白いと思ったのだが、主人公の姉の親友(黒人のスリムな女性で、やはり身長が180センチ)のしゃべり言葉が関西弁ってのが、ずっこけ。彼女には訛りがあるらしいのだが、訛りといえば東北弁というのも能がないなとは思うけど、ロンドンで黒人が関西弁とは・・・。これは英語より読むのが難しかったかも。